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「そっか……」
照準狂いまくりだと思うけれど。
えっと、と、私は改めて、月崎の左手を見る。
けだものの手＿＿猿の手。
「さ……触ってもいいの」
「おう。今は別に、大丈夫や」
「そ、そう……」
許可を受けて、私は月崎の手首の部分辺りに＿＿そっと触れてみる。
恐る恐る、こわごわと。
質感、肉感……体温、脈拍。
生きている。
この怪異は＿＿やはり、生きているタイプの怪異。
……あんな有様だった部屋を見られるのは平気な月崎志麻でも、さすがにこの左腕を見られるのには、抵抗があった、というわけか……無論、自主トレ中に捻挫したというあの弁は、方便だったということになるのだろう。
包帯は怪我を保護するためじゃなくて、腕を隠すための方法……、捻挫しているという割に、全くそんな素振りを、身体の左側を庇うような仕草を見せないから、どっかおかしいとは、思ってはいたのだが……いや、そんなことを、後から言っても、説得力はまるでない。
とは言え、しかし。
こんな左手では、バスケットボールができないのは、確かなのだろうけれど。
思わず。
ぎゅっと＿＿その手首を、私は握ってしまう。
「ん、あ、やんっ」
「変な声をあげんな！」
思わず手を振り離した。
「阿良々木先輩が変な触り方するからやん」
「変な触り方なんてしてないよ」
「俺はくすぐったがりなんや」
「だからっていきなりこれまでのキャラを崩すような声色をあげてんじゃないよ……」
って、思い出してみれば、相川の奴も、そういうこと、何度かやってたな。勿論、使い方は、今の相川とは対極に違うのだろうけれど、しかし、月崎が今のようにそれを体得しているということは、じゃあ、あれは中学時代からの相川の持ちネタだったってことか……。
「忘れてるのかもしれないけどね、月崎、ここ、お前の家で、お前の部屋なんだよ？ そんな声を出してるのをお前の両親とかに聞かれたら、私、どうなっちゃうんだよ」
「ああ、それは大丈夫や」
月崎は快活に言う。
「両親のことは、全く、気にせんでええから」
「……なら、いいけど」
え……？
なんだその、触れられたくないみたいな、露骨にそれ以上の追及を拒むみたいな言い方は……それこそ、これまでのキャラを、崩すような言葉を、いつも通りに、快活に。
まあまあ、と、月崎はさっさと、仕切り直す。
左手を、ぐーぱーにしながら。
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灰猫(プロフ) - 梅茶漬けさん» 梅茶漬けさんコメントありがとうございます！ずっと更新していなかったにも関わらずお気に入り登録を外さずにいてくださりありがとうございます！ちまちまですが頑張って化だけでも完結まで持って行きたいと思います！ (2021年8月3日 19時) (
レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - れいさん» れいさんコメントありがとうございます！一年以上更新してなかったこの作品を発掘してくださっただけでもありがたいのにそんなありがたいお言葉まで……こちらこそ読んで頂きありがとうございます！ (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - RONONさん» RONONさん、コメントありがとうございます！たくさん好きと言って頂けて嬉しいです！！ (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
梅茶漬け(プロフ) - 更新ありがとうございます！！とても素敵な作品だったので通知が来た時はとても嬉しかったです…！これからも無理せず灰猫様のペースで頑張ってください、応援しています！ (2021年8月3日 2時) (レス) id: 38bd223230 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 一気見しました。すごい好きです！作ってくれてありがとうございます←いきなり (2021年6月27日 12時) (レス) id: 1e82b4fb9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2020年6月8日 1時
