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ブロック塀は、雨合羽が左拳で貫いたその部分から、堰堤が一穴を中心に破壊するかのように、数メートルにわたってがらがらと、派手な音を立てて崩れていく。
懐かしい風景。
タイムラグなんて一瞬もなかった。
身体全体を捻るようにして、その左拳がそのまま直接、私に向かってくる＿＿今度は初動もモーションも何もない、ただそのままの位置から、私の身体を思い切り殴りつけるだけ。
カタパルト。
回避どころか防御すら、間に合わなかった。
どこを殴られたのかも、わからなかった。
視界が一瞬で回転し、二回転三回転四回転、思考回路が揺さぶられるように、激しい重力加速度が前後左右にかかりまくり、世界全体が歪んで歪んで、そして、私の身体はうつ伏せに、アスファルトの地面に、叩きつけられる。
全身を磨り下ろされる気分を味わった。
磨り下ろされる大根の気分。
だが＿＿痛い。
痛いということは、まだ、生きている。
全身痛いが、一番痛いのは腹部＿＿殴られたのは腹部のようだった。慌てて起き上がろうとするが、足ががくがくと震え、うつ伏せの状態から表に返るのが、やっとだった。
雨合羽の姿が、やけに遠い。遠く感じる。錯覚かと思ったが＿＿そうじゃなく、実際に遠い。どうやら、たかが一撃で、えらい距離を吹っ飛ばされたようだった。まさしくカタパルトだ。
腹の中身が＿＿気持ち悪い。
この種類の痛みにも……覚えがある。
骨じゃない。
多分、いくつか、内蔵が破裂している。
だが、中身はそのように破壊されても、確認してみれば、私の五体の形は、無事というなら無事のようだった。ああそうか、自転車と人間とじゃ、構造が違うから、同じように殴られたところで、同じように紙屑みたいな有様にはならないのか……ナイス関節、ビバ筋肉。
とはいえ……。
このダメージじゃ、やはりすぐには動けない。
そして、雨合羽は、私に近付いてくる＿＿今度は、目に、じっくりと映る。焼き付くようなゆっくりとした、のびやかな速度で。あと一撃、たとえそうでなくとも二、三撃、私を殴りつければ、それで決着である＿＿何も急ぐ必要も焦る必要もないということだ。
まあ、その通りだろう、妥当な判断だ。
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灰猫(プロフ) - 梅茶漬けさん» 梅茶漬けさんコメントありがとうございます！ずっと更新していなかったにも関わらずお気に入り登録を外さずにいてくださりありがとうございます！ちまちまですが頑張って化だけでも完結まで持って行きたいと思います！ (2021年8月3日 19時) (
レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - れいさん» れいさんコメントありがとうございます！一年以上更新してなかったこの作品を発掘してくださっただけでもありがたいのにそんなありがたいお言葉まで……こちらこそ読んで頂きありがとうございます！ (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - RONONさん» RONONさん、コメントありがとうございます！たくさん好きと言って頂けて嬉しいです！！ (2021年8月3日 19時) (レス) id: 75a262f2fa (このIDを非表示/違反報告)
梅茶漬け(プロフ) - 更新ありがとうございます！！とても素敵な作品だったので通知が来た時はとても嬉しかったです…！これからも無理せず灰猫様のペースで頑張ってください、応援しています！ (2021年8月3日 2時) (レス) id: 38bd223230 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 一気見しました。すごい好きです！作ってくれてありがとうございます←いきなり (2021年6月27日 12時) (レス) id: 1e82b4fb9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2020年6月8日 1時
