夢をのせて、君と (ページ4)

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弟だけれど２ページ4

(side.M)

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「･･･遅くねぇ？」

誰もいない部屋で、ぽつりと呟く。

翔さんがトイレに行くと出ていってもう30分は経つ。

さすがに、遅すぎる。一番近くのトイレはこの部屋を出てすぐのところにあるし。

スタッフか共演者の誰かに捕まってるのかな。それならいいけれど。

『誰かにずっと見られてる気がしてさ』

彼のさっきの言葉が、脳裏を掠める。

気付けば俺は、楽屋を飛び出しトイレに駆け込んでいた。

「･･･いない」

トイレには誰もいなくて、個室も全て空だ。

とりあえずさっきのスタジオに行ってみようと廊下を走っていると

「あれ？松本くん？」

さっきの撮影で一緒だった仲のいいスタッフとすれ違う。

「あのっ、櫻井見ませんでした？」

「櫻井くんなら、さっきスタッフとこの先曲がったところの部屋に入っていったと思うけど。なんか見慣れない男だったなあ、新しいスタッフかな。打ち合わせがどうのって」

「ありがとうございます！」

嫌な予感を胸に、教えられたその部屋を目指す。

そこは普段あまり使われない部屋のようで、照明も薄暗く人気も無い。

コンコン

ノックをしてみたけれど、返事はない。

ただ、物音はする。中に誰かがいるのは確かだ。

ドアノブを回してみたが、カギがかかっていて開かない。

「翔さん？いる？」

ドンドンと扉を叩き、呼びかけたその時

「･･･けて」

微かに、声が聞こえた。

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「･･･たすけてっ潤！」

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泣き叫ぶような、翔さんの声。

頭が真っ白になって、全身に電流が走ったかのような感覚に陥る。

「翔さんっ、翔くん！！」

扉に向かって何度か体当たりするがびくともせず

近くにあった工具で、ドアノブを叩き続ける。

元々脆くなっていたのか、思っていたよりも扉は簡単に空いて

俺は、中へと転がり込んだ。

「っ･･･！」

目の前に広がる光景に、言葉が出ない。

そこには、

上半身裸で、両腕をガムテープで縛られている翔くんが横たわっていて

その上に、一人の男が馬乗りになっているのが見えた。