ドライフラワー ４ ページ21
(side.S)
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いつからだろう。
二人で笑い合う時間が無くなったのは。
言葉を交わす機会が減ったのは。
一緒にご飯を食べる時間も、テレビを見る時間も
休みの日は智くんが洗濯をして、俺が食器洗いをして
二人で部屋の片付けをして、夕ご飯を一緒に作ったりなんかして
それが、全部、当たり前だったのに。
いつからだろう。
その全てが、当たり前で無くなってしまったのは。遠い思い出になってしまったのは。
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「あなたが忙しいのは分かってた。個展もあったしドラマも始まって。特に作品を作る時は、集中したいから独りの時間が欲しいっていうのも理解してたよ。でも･･･それでもっ、おかえりとかおはようとかそんなことですら言えなくなるわけ？」
だめだ。今まで我慢してた分、後から後から彼を責めるような言葉ばかりが溢れ出す。
彼の負担にならないように、重いやつだめんどくさいやつだって思われたくなくて、ずっと溜め込んでた。
「おれさ、あなたと一緒にいられればそれでいいと思ってたんだよ。会話なんてなくても、あなたが同じ家にいてくれるだけで、毎日隣で寝てくれるだけでいいって。でも、やっぱり虚しくて辛くて。だから、必死だった。あなたを振り向かせるのに、昔の二人に戻りたいって」
あなたの帰りが遅い時は、おかえりって笑顔で迎えてあげたくていつも頑張って起きていた。
作品創りに夢中になっている時は、下手なりにも頑張って差し入れを作ったり
あなたの興味がありそうな本とか映画とか集めて、少しでも息抜きになったらって思って
「笑って欲しかった。昔みたいに、俺に笑いかけて欲しかった。ただ、それだけで、良かったんだよ」
「ごめっ･･･おれ、自分のことばっかりで･･･翔ちゃんの気持ち、なんも分かってなくて」
ポロポロと涙を流し始める彼。
久しぶりに見た、この人の泣く姿を。昔は俺が熱を出してダウンしただけで泣いていたっけ。
『おれ、翔ちゃんのことすげー大切なんだから。だから、心配させんなよ』
そんなこと･･･言ってくれたっけ。
「･･･遅いよ」
「ごめんっ･･･ごめん、翔ちゃ「もう」
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「もう･･･戻れないよ。昔の俺たちには」
続く (更新停止中)
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作者名：スイミー | 作成日時：2021年1月11日 23時
