ドライフラワー２ ページ19
(side.O)
「･･･ど、したの」
「ちょっときて」
固まる翔ちゃんの腕を引っ張り楽屋の外に連れ出して
すぐ近くの空き部屋に入った。
「えっ、なに？」
「いや･･･なんか嫌だったから。翔ちゃんとニノが話してるの」
「･･･は？何言ってんの？」
「見たくなかったから。だからっ･･･」
上手く言えないもどかしさが込み上げる。
確かに、今の俺訳のわかんないこと言ってるよな。
目の前の翔ちゃんも、ぽかんとしてるし。
どうしよ。なんだこれ。なんて言ったらいいんだ。
「･･･ははっ」
すると、突然君は笑って。
「あなたって、どこまで勝手なの」
今度は、泣きそうに唇を噛み締めて。
「えっ？」
「自分の気持ちばっかり。俺の気持ちは？考えてくれたことある？」
翔ちゃんがこんな風に怒るのは初めてで、何も言えなくなる。何も考えられなくなる。
「俺が怒ってる理由も分からない？」
分からない。というか、この状況でそんなこと冷静に考えられない。
俺、最近なんかした？翔ちゃんを怒らせること何か･･･
「･･･ごめん」
「なにが？」
黙り込む俺に、小さなため息をつく翔ちゃん。
「･･･俺たち、何のために二年も付き合ってたの？」
「何のためって、好きだったから」
「それっていつまで？」
「それは･･･俺は、ずっと好きだったよ。でも仕事が忙しくて」
「だから、別れようって言ったの？全部仕事のせいにして？」
なんだよ、これ。
なんで、俺がこんなに責められなきゃいけないんだ。
･･･翔ちゃんだって。
「翔ちゃんだって、分かったって言っただろ！少しも考えずに、平気な顔して即答したじゃん！もうとっくに、俺の事なんか何とも思ってなかったんじゃないの？」
瞬き一つしない君を見て、
言いすぎた？って思ったけど
俺は間違ったことは言ってないって思った。
俺は、悪くないって。
.
.
でも、次の瞬間
.
.
「俺が、どんな思いで分かったって言ったと思ってんの」
.
.
.
君は、泣いていた。
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作者名：スイミー | 作成日時：2021年1月11日 23時
