HBD2U ページ14
(side.S)
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「･･･んんっ」
ぼんやりと目を開けて、枕元のスマホを手に取る。
「･･･え、もうこんな時間？」
画面に並ぶ「16：10」の数字が信じられなくて、数回瞬きを繰り返す。けれど、変わらずそれはそのままで。
昨日てっぺん越えるちょい前に帰ってきて、そのまま寝たよな？で、朝7時くらいにトイレに起きて、また寝て･･･で、今？
「･･･うそ、だろ。どんだけ寝てんだ俺」
はあああと深いため息を吐いた途端、ズキズキと痛み出す頭。全身が相変わらず鉛のように重くてダルい。
体温計を脇に挟み、もう一度スマホを見る。
『翔ちゃん、お誕生日おめでとう』
『翔さん、おめでとう。素敵な一日を』
『翔くん、おめでとう』
そんなメッセージが、メンバーや友人、事務所の後輩先輩から入っているのに気付いた。
ああ、そっか。今日って、俺の誕生日か。
忘れていた。完全に。もう最近は異常な程に忙し過ぎて、日付とか時間とかよく分からなくなっていた。
一週間前くらいから、資料集めとか原稿の読み合わせとか生放送の打ち合わせとか色々あって睡眠もほぼ取れず。
そう、全部今日の生放送の為だった。毎週月曜のニュース番組。イチメンとは別に、若者へ今の政治について知って欲しいことや伝えたいことをまとめた特集を組ませてもらっていた。こんなこと今までなかった。だから、寝る間も惜しんで自分なりに完璧に準備してきたのに。
昨日の夕方頃から体調が悪化し仕事も中断。大事をとって、今日の仕事も全てキャンセルとなった。もちろん、その特集もだ。
「･･･最悪の誕生日だな」
悔しい。悪いのは全部自分だって、分かっているから。ちゃんと体調管理出来なかった自分の責任だ。
ピピッ。体温計が鳴って手に取ってみる。38.5℃。
「･･･全然下がってねぇじゃん。ケホケホっ」
体が重い。動けない、どうしよ。辛い、もう嫌だ。
負のスパイラルに陥りそうになった時、突如スマホが震え
通話ボタンをタップした。
「もしもし」
『もしもし？翔ちゃん？今大丈夫？』
「うん。どしたの？」
『翔ちゃん！誕生日おめでとう！！』
いつも通りの明るい声に、自然と笑みが漏れる。
「･･･ありがと、相葉くん」
『･･･翔ちゃん？大丈夫？』
「えっ？何が？」
『もしかして･･･具合悪い？』
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作者名：スイミー | 作成日時：2021年1月11日 23時
