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ー太刀川sideー



「いつも先輩の話ばっかりだもんな」

「そーそー、この前も先輩刑事みたいでかっこよかったって言ってた」



ベタ惚れだよねー、なんて言いながら、聖藍は先ほど出した枝豆を爪楊枝に刺している。

遊ぶんじゃない、と傑が声をかけると。



「…でもさー、悟の先輩大好きはかわいーもんだけど、傑のはヤバいよねー」



と聖藍がこぼした。

それを塞ぐように、硝子が聖藍の口を素早く手で覆い、



「何も言ってない」



と誤魔化す。

…何だ、今の失言だったのか?

チラリと傑に目をやれば、何故か顔を覆う姿。



「…覚えとけよ」



低い声でそう呟くと、聖藍はサッと硝子の後ろに隠れる。



「…聖藍、お花摘みにいこ」

「アイサー」



傑の様子を見て、逃げるように硝子と聖藍は席を立った。



「…傑?」



爆睡する悟と沈黙する傑。

何だこの空気。



変な空気を押しつぶすようにガヤガヤと賑やかな居酒屋。

どうしたものかと思っていれば、傑は深くため息をついた。



「先輩って、鋭い癖に身内には信じられないほど鈍いですよね」


「えっ、そうか…?」


「そうですよ。

…はぁ、私がもう一年はやく生まれられたらよかったのに」



頬杖をつきながらこちらに笑みを向けてくる傑。

思わず言葉を詰まらせると、



「…ふふ、忘れてください」



と笑いながら、グラスに残っていた冷酒を飲み干す。

…今一瞬、妙な雰囲気になりかけた。



…何故だ?



そう思っていると、



「…今日、先輩に声かけたのはこれを渡すためだったんです」



と話題を変えるように傑が取り出したのは、一枚のお札。



「それは?」


「呪霊札です。

私が取り込んだ呪霊を封じた札で、私が所有権を譲渡した人間だけが中の呪霊を使役できるようになる…、まぁ、レンタル呪霊みたいなものです」



説明しながら、傑はその呪霊札を俺に手渡す。



「…それは凄いな」



一見ただの紙だが、呪力で保護されているから濡れたり破れたりすることもなさそうだ。



「…傑、お前って本当に凄いな」

「ふふふ、光栄です」



俺の言葉に、満足そうな笑みを浮かべる傑。



「…でも、これを何故俺に?

易々と作れるものじゃないだろ」



そう尋ねると、少し悩む仕草を見せた後、



「先輩、私より弱いですから」



ふと笑みを浮かべながらそう言った。

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マニ。(プロフ) - しまさん» ✉️。あのしまさんのボードに返事送りました!ボード返事待ってます! (2月25日 11時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
しま(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます!嬉しいです笑 ボードは滅多に使わないので、イマイチ使い方を覚えてないのですが、それでもよければ是非! (2月25日 8時) (レス) id: 901e45cbed (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは!とても面白いです。もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます💝 (2月24日 23時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しま | 作成日時:2024年1月28日 1時

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