07/あー、やっぱり大家族で。 ページ7
·
【A視点】
「Aって怖いやつかと思ってたけどぜんぜんそんなことなかったな！ ごめんな勝手にビビってて！」
「わたしたちも、ごめんね。Aちゃん」
「これからはボク達みーんな仲良しでお喋りできるよね！」
「もちろんですよねA。これで心置きなく皆と大家族になれます。ビッグダディ松陽の誕生です」
いや、何をしれっと混ざり込んでんだ松陽てめぇ。
どういう事だこれ。ドッキリって何だ。
そりゃァ全然喋らなくて剣の稽古ばっかりやって白猫といっつも端っこに野垂れてれば怖いやつ、変なやつ、愛想悪いやつって悪い印象つくのは当然だし、謝る必要なんてない。
私が一方的に……ヤキモチ、
ヤキモチ、妬いてたのか。
松陽を奪われたと思ってた。
見放されたと思ってた。
でもそれは間違っていた。
「A、こちらへおいで」
コイツらは、松陽は、皆は、
私のことをずっと待ってくれていたのか。
「いいのか、お前たちのイメージは間違ってなんかないぞ。私が勝手に決めつけていたお前たちはもう壊れた。もうわかった。けど、私は、お前たちが最初に思った通りの真っ黒な人間だ」
冷ややかに。ふやけてゆく、心。
何人この手で殺してきたことか。
何人からこの手で奪ってきたことか。
何人から鬼と、石を投げられてきたことか。
いったい、これから───
「ただの生意気な悪ガキが、何を言ってるんでしょうか。私には分かりませんね」
「……」
「君は誰ですか？」
「……A」
「そう、A。こんなに綺麗な名前があって、こんなにあたたかな居場所があって、こんなに君を想う家族がいて、それでもまだ満足出来ませんか？」
家族───？
「いますよ。ここに君の父親が」
ふわり、頭を撫でる大好きな手のひら。
「いますよ。ここに君のキョウダイ達が」
目尻を優しくなぞる綺麗な指は、
一緒に包丁で野菜を切って、指も切った。
一緒に魚を釣って、逆に川に落ちた。
一緒に字を書いて、教わった。
一緒に道を歩いて、手と手を握った。
何度も、その指で頭を撫でてもらった。
「私は誰ですか？ この子達は誰ですか？」
その答えは、
「お父さんと、妹と、弟」
それと、
「にゃっ」
いつの間にやら肩に乗っていたそいつに、
べーっと舌を出してみせ
めいっぱい笑った。
「にゃァァァ」
「っちょ？！ パンチはやめろ！」
「ンにゃー！！」
「あァァ引っ掻くのもダメだ！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 830人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (
レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか？これからも頑張ってください！！ (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか？ (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか？ (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：糸針
| 作成日時：2018年9月21日 23時
