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35/夏祭は花火の音聞くだけ ページ35

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【A視点】


「夏祭り?」

「うんっ! 今日の夜七時から近くであるんだって! 一緒に行こうよAちゃん!!」


可愛らしい笑顔のちよちゃんに誘われた。

人の多いところはあんまり好きじゃないし、祭りごとにもそこまで興味があるわけじゃない。けどこんなに可愛いちよちゃんに誘われたんだ。


「行くしかねェ」


答えると、ちよちゃんの笑顔はもっと煌びやかに輝いた。


「やったぁ! 桂くんも一緒なんだけど大丈夫だよね! よかったね桂くん! これでAちゃんと恋花火見れむぐっ」

「はっはっは、喜べA! 今晩は好きなだけ俺と屋台を回れるぞ! 綿あめを買ってやる!」

「お前それ私の髪の毛見て言ってるなら殴るぞ」


ちよちゃんの口を両手で封じつつ白々しい顔で奢ってやる宣言をしたヅラ。

一昨日の『釣り上げ事件』以来、また微妙に私に対する態度と言うか接し方がかわったコイツは、本当に何を考えているかわからない。

と言うか何も考えてないんだと思う事にした。


「違うぞA! 俺はお前の頭で寝息を立てている銀くんを見て言ったのだ。お前達の白いもふもふが合わさって一段と綿あめに見えるなぁと」

「結局私の頭も入ってんじゃねェか」

「ハッ………!!!」

「ねぇ、マジで殴っていい? 殴っていいよね?」

「にゃん」


だってバカだもんこいつ。


「松陽を保護者にして皆で行くか」

「うんっ先生に言ってくるね!」

「ありがとちよちゃん」


スキップしながら教室を出て行ったちよちゃん。

残された私とヅラ、銀は、不穏かつおぞましい空気を放つ襖を隔てた隣室にゆっくり目をやった。


「……なんかいるよな」

「……何かいるな」

「ヅラ入って見て来てよ」

「一緒に手を繋いで入ろう」

「それだけは嫌だ。お前行け」


げしッとヅラのケツを蹴ると、銀もヅラの背中に襲いかかった。


「ぐっ、あ、肉球が……」

「何で喜んでんだバカ」
「にゃお」


キモイ。と言わんばかりに銀が爪を立てた。


「いっ!!?」


ヅラの顔が歪んだかと思えばバサッ、と襖目掛けて傾いていく。あ。やべ。と思った時には遅くへたった襖は簡単にヅラの身体に倒されてしまった。

黒い空気が充満するその部屋に、入る予定などなかった私と銀までご入場となった。


「ゴホッゴホッ」

「………」


部屋の中にいたのは布団にくるまった高杉。


「ゴホッゲホ」

「う、嘘だ!」


私は声を荒らげた。


「バカが風邪をひいただと!?」

36/微熱かどうかは人による→←34/親愛でもあり恋愛でもある。



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佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
- 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか?これからも頑張ってください!! (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか? (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか? (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:糸針 | 作成日時:2018年9月21日 23時

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