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11/バカはいいぜ。お坊ちゃん ページ11

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Aは棒切れをバットのように肩に乗せて、普段と変わらない死にかけの魚のような目を妙に偉そうな少年へ向けた。

一目でその少年を苦手なタイプだと感じた。

反射的に顔を顰めたAに、少年もまた顔を顰める。


「貴様のような貧乏人が高貴で神聖なこの土地に足を踏み入れ、あまつさえ野球をしていたと言うのか……どこまで愚弄するつもりだこの女っ」

「グローブは用意できなかったんです、なにぶんお金が無くて」

「グローブじゃない愚弄だ下等女!!」

「え、じゃあ石をボール代わりにバットもグローブも持たない両手塞がれた奴で一方的に遊ぶのはいいんですか? これが高貴な野球ですか、神聖なお坊ちゃんの嗜みってやつですかい?」

「ぐっ………、そ、そうだが」


高杉の瞳はだんだんと緩んでいった。

気を張り続けて、恨んで、憎んで、呆れて、馬鹿馬鹿しいと蔑んできた少年の瞳が、だんだんと柔らかく。丸く。

銀髪の女だけを見つめていた。


「これは立派な野球だ」

「なるほど」

「にゃぁん」


ふむ、と頷いたAの頭に白猫が飛び乗った。

バカと大バカは仲間だったのか、と高杉はまた目元を和らげた。


「分かったら、俺が大人しくしているうちに去ることだ。その汚らわしい足で二度と踏み入らな」


ゴッ。


「………ぐはっ」


バタリ。


「ナイスコントロール」

「にゃふー!」


ギョッと、石のように固まったのは金を握らされた貧相な少年たちだけだった。

Aはぺらぺら、ほざき続ける少年の腹部に小石を投げつけたのだ。

相当苛立っていたらしく仰向けに倒れたそれを満足そうに見下ろしている。


「っな、き、貴様ァ……何を、」

「え?」


ニヤリ、口角をいやらしく釣り上げる。


「野球だけど」


そう言い放った瞬間のAの顔は、
とても生き生きしていた。


「ぐ、あ……」


か細く漏らすと少年は無念そうに目を閉じた。

あっさり倒されてしまった雇い主の姿に、貧相な少年二人の顔はぶわりと青ざめ、腰に凶器をぶら下げたまま逃げ去って行く。

そんな二つの背中を、Aは怠そうに見逃してやった。


「一昨日来やがれコノヤロー」


無表情で呟いた。


「お前、筋金入りのバカだろ」


頭上からのそんな声。

目線だけをソイツに向けると、吊るされている奴には到底そぐわない顔つきでAを見ていた。


「バカでいいよ」


踵を返す。


「まぁ、お前も十分そのバカ面だけどな」

12/パフェは一口目が一番美味い→←10/身長がミリ単位で同じってどうよ



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佑依佳 - すごく良かったです。パスワードを教えてくれませんか (4月15日 10時) (レス) id: 4b4e019a12 (このIDを非表示/違反報告)
LIARPIERROT(プロフ) - こちらの作品のパスワードは作者様が作者ページに掲載してらっしゃいます。確認してからコメントしましょう。 (12月21日 20時) (レス) id: 7068d0a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
- 初めて読みました。とても感動して続きを読みたいと思いました。なので続きを読ましていただきたくパスワードを教えてくれないでしょうか?これからも頑張ってください!! (11月19日 15時) (レス) id: fd0a1b2f31 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - 続きを読みたいのですが、パスワードを教えてくれませんか? (10月20日 12時) (レス) id: de6a447dfa (このIDを非表示/違反報告)
白虎 - 続きを読みたいのですが、パスワード教えてくれませんか? (8月16日 23時) (レス) @page3 id: ec81a6d504 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:糸針 | 作成日時:2018年9月21日 23時

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