【WT】鏡花水月のイデオロギー【銀魂】

19.『ちゃんとしろ、攘夷隊』 ページ27

「ほら、ちゃんと仕事しなさい」

ぺしっとラーメン屋の店主は桂の背中を叩く。その様子を見て、銀時も高杉も溜息が漏れた。何やってんだ、ばかつらと、足元で蠢いたラッドをブレード型のトリガーでぶっ刺した。

まあ、取り敢えず二人とも、非リアである。その為、若干羨望も入ってるかもしれない。

「幾松、いっつも悪いな、このバカが」

銀時が桂を蹴り、前のめりになった彼をズルズルと高杉が引き摺っていく。一応トリオン体で痛みは感じないのだが、桂は痛い痛いと叫んでいる。

「今度食いに来る。こいつ抜きで」

銀時は振り返り、暖簾の前で微笑む幾松にそう告げる。高杉も同じく振り返って小さく頷いている。幾松は、第一次侵攻の際に旦那を亡くした。旦那と二人で営んでいたラーメン屋、北斗神軒を今は一人で切り盛りしている。そしてラーメンは上手い。

「ああ、それは助かるね。楽しみにしてるよ。」

「え、待ってくれ、酷いではないか！」

「は？いつもの事だろ、ヅラ」

銀時と桂がギャーギャーと言い合いを始める。いつものことなので、最早幾松は笑いながら見ている。

「おい、こっちはお前のせいで遅れてんだぞ。あの役立たず(大仏)の分までやんねえといけねえんだからな。

……っかおい、もう一人のバカは何処行った」

高杉はそんな二人を尻目に急かす。もう一人のバカとは、同じチームである辰馬のことである。

「え、辰馬？そういやどこいった」

すると、トリオン体についてあるインカムから連絡が入る。桂達は、四人チームでありもう一人は、オペレーターの志村妙だ。

「三人とも、坂本さんはまだ……」

妙の言葉に三人は驚きで声を上げた。




「のう……支部長……」

辰馬はぽつんと寂しそうに呟く。

「なんだい、辰…ぎゃああああああ来んじゃないいいい、辰馬ああああああこいつどうにかしてえええええ」

大仏は近くによってきたラッドに断末魔を上げる。辰馬もそれをぶっ刺した。

まだ支部前だった。




「あいつらぶっ飛ばすか」

高杉は妙の報告を聞きながら、青筋を浮かべた。

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