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あれから一週間は過ぎ、そろそろ落ち着くかとも思ったがTwitterのほうへは相変わらずクレームが届き続きていた。
福良へひとつ提案をしてライターアイの記事の掲載は休止し、ライターアイの名前は出さずQuizKnock編集部の記事の手伝いのほうをしている。
編集部の記事をしていても、ライターアイの記事に出来そうな尖ったネタはいくつも浮かんでおり、ストックとして溜まっていってる最中だ。
「…あのー、Aさんですか…?」
東大の食堂で少し遅めの昼食を食べ終わり、思い浮かんだネタのプロットをノート隅に書いていると声を掛けられAは顔を上げた。
『…はい?』
初対面の女性だ。グレージュをインナーカラーに入れたロングヘアーが印象的で。
「突然で申し訳ないんですか…QuizKnockのライターアイって…Aさんって本当ですか?」
『…あー、はい…』
相手の女性に探るように質問されてAは迷ったあと苦笑いで答えた。
「やっぱり!…凄いですね!ライターのアイさんの記事好きなんですよ!」
予想通りの品定めの視線と在り来りで用意されていただろうセリフ。貼り付けた表情と身振り手振りが猫を被っていて演技くさい。
『あー!嬉しいです!ありがとうございます!』
だけど、猫被りならAも負けていない。にこやかな笑顔を浮かべて立ち上がり、頭を下げて高いトーンでお礼を言う。
「これからも頑張ってくださいね!」
「はい、ありがとうございます!」
ひとことふたこと毒にも薬にもならないことをお互いに喋り去っていく女性を見送った。
ひとつの溜息を隠して、スマホを取り出した。
東大の学生のうち、…いや東大生以外も利用出来る食堂で人物の特定は難しいはずだ。しかし、この時期にAの顔を認識し、わざわざ話し掛けてきた時点で。
Aは裏垢のTwitterを開いてみる。
「……当たり。やっぱりフォロワーじゃん」
Aのタイムラインに。
《さっき食堂にAAがいたからライターアイのこと聞いてみたけど、本人って認めてたよ。褒めたのに態度悪くて偉そうだったー》
というツイートを載せたアカウントがあった。
《なにそれー!有名になったのQuizKnockのおかげなのにライターアイ天狗になってんの?!》
《本当にあいつ嫌いだわー!》
というツイートを載せたアカウントがあった。Aの裏垢と繋がってるとは知らずに盛った狂言を呟き、他のフォロワーもそれを都合よく信じて会話を続けていっている。
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わらべ(プロフ) - 和奏さん» とても返信遅くなりましたがコメントありがとうございます!夢主のこと好きって言って貰えてこれ以上ないくらい幸せです!ひとくせある子が好きなので今回の夢主も気に入っていただけると嬉しいです!また読みに来てくださいませ! (2022年1月23日 20時) (レス) id: de37784df7 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - わらべさんのお話はどれも夢主ちゃんのことが大好きになるので不思議です…更新のたび覆されてワクワクするし最高です〜!これからも応援してます。 (2021年12月31日 23時) (レス) @page44 id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
わらべ(プロフ) - すみれさん» コメントありがとうございます!好き嫌いが極端に出そうで中々進んで行かない作品ですが、本当に書きたいものを書きたいままやっていました!そこで1人でも好きと言っていただけたので本当に嬉しいです!更新は遅めですが頑張ります! (2021年10月11日 20時) (レス) id: 34cdc8231e (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - めっちゃ好きです〜更新楽しみにしてます!! (2021年10月8日 17時) (レス) id: 84d3b4ed7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わらべ | 作成日時:2021年4月17日 12時