第一部 加入 ページ6
暗闇の中の二年前には考えられなかった。
まさか自分が東京大学に合格して、父親の元から離れて一人暮らしをする決断をするとは…。
父親は自分のことをとても心配していたけども少しでも早く、世の中に順応していくには、甘える場所を減らしたほうがいい。
父親の言葉をなんとか押し切り、一学年、二学年と通うことになる駒場キャンパスに電車で10分くらいのところでワンルームを借りた。
結局は家賃などを仕送りしてもらうことになるからまだまだ甘えてる。
日本の首都、大都会、東京。Aは初めて栃木の地を離れた。初対面、身内関係なく人と接するのはまだまだAの心身にとって負担であり、引越しの手続きの多くで滅入り、入学式の前日に体調を崩してしまい今日の入学式は欠席することになった。
体調不良のときは異様なほどの自己嫌悪が襲ってくる。新しい土地で一週間過ごしただけで頭痛を起こし歩けなくなる自分が情けなくて悔しくてベットの上で泣けてくる。
こういうドン底までメンタルが押し潰される日はこの二年間のAに何度もあった。自分という存在を否定して生きていても仕方ないと諦めたくなる日。
そういう時、奮い立たせてくれたのは皮肉にも。
『…あー…本当にきもい…』
Aの口元に侮蔑の笑みが浮かぶ。本名かつ自撮りのアイコン、在学中の大学を堂々と書き記しネットの怖さを分かっていないアカウント。
メディア欄からは承認欲求と自己顕示欲が溢れていて、典型的なキラキラ女子のSNS。
あの時死にたいと思わせてくれた悪夢の彼女が、現在はある意味生きる意味を見い出してくれた。
タイムラインに並ぶ文字を鼻で笑ってしまう。
人のためになりたい？
勇気を与えたい？
その言葉も。
そんな言葉に踊らされている言葉も。
全て馬鹿らしくて。
『この人こんなこと言ってるけど、昔酷いいじめしてたんですよ〜』
口に出しながらAはその為に作った捨て垢で打ち込んで、その時ではないと苦笑いで消した。
そして跳ぶのは鍵付きの彼女の裏垢。性格の悪さが滲み出ているこっちの垢のほうがしっくりくる。
「伊沢さんにアプローチしてQuizKnockの人達と繋がろうかなー！」
なんて馬鹿みたいな妄想を呟いているツイートに心にもない応援のリプを送っておいてスマホを放った。
狭いベットから床に落ちて大きな音を立てたが気にせずに目を瞑る。落ちたスマホの画面いっぱいに「面接日時のお知らせ」のポップアップが表示がされていた。
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わらべ(プロフ) - 和奏さん» とても返信遅くなりましたがコメントありがとうございます！夢主のこと好きって言って貰えてこれ以上ないくらい幸せです！ひとくせある子が好きなので今回の夢主も気に入っていただけると嬉しいです！また読みに来てくださいませ！ (2022年1月23日 20時) (
レス) id: de37784df7 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - わらべさんのお話はどれも夢主ちゃんのことが大好きになるので不思議です…更新のたび覆されてワクワクするし最高です〜！これからも応援してます。 (2021年12月31日 23時) (レス) @page44 id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
わらべ(プロフ) - すみれさん» コメントありがとうございます！好き嫌いが極端に出そうで中々進んで行かない作品ですが、本当に書きたいものを書きたいままやっていました！そこで1人でも好きと言っていただけたので本当に嬉しいです！更新は遅めですが頑張ります！ (2021年10月11日 20時) (レス) id: 34cdc8231e (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - めっちゃ好きです〜更新楽しみにしてます！！ (2021年10月8日 17時) (レス) id: 84d3b4ed7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わらべ | 作成日時：2021年4月17日 12時
