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早く顔を上げなきゃ不審がられる。
実際に、「Aさん？」と不思議そうに声をかけられた。
はっ、はっ、と荒くなる息。過呼吸の1歩前だと思う。大丈夫、自分は別人だ。あの頃の自分はもういない。洗脳のように自分に思い込ませAは息を止めた。
息苦しさを感じていた呼吸を無理やり押し殺す。
『………さん、ですか？』
「…あれ？…私の事知ってたりします？」
なんとかAは呼びたくもない相手の名前を呼んだ。名前を出した唇が震える。
すると、首を傾げるあざとい仕草と共に明るい猫なで声が返ってくる。
中学生時代からなんにも変わってない笑顔の作り方も、隠しきれていない見下したような喋り方も、計算尽くされたような立ち振る舞いも、全てがAの吐き気を誘うもので。
ボールペンを握り込んでなんとか堪える。
『だって………さん』
私と中学校一緒で、私のことイジメてたから忘れるわけないじゃないですか？
人間扱いされずに扱われ、最終的にいないことのにされたんですから。
なんて、半狂乱に叫び散らかして机を悪魔のほうに蹴飛ばしたい、…のを想像で終わらせる。
『有名じゃないですか？…テレビで見た事ありますよ！美人すぎる東大生だって！』
「えー、あれ見てたの？！恥ずかしい！…あれは周りが変なこと言い出して…」
Aが、愛想笑いでそう言うと、向こうは両手を合わせて驚いているよう。…いや、驚いているということを芝居しているのが丸わかりのチープでわかりやすい大根演技だった。
鼻で笑いそうになる。謙遜していても顔に嫌らしさが出るなんて相当なものだと思う。
『……いやいや、そんな方が私に何を？』
これはちょっとした確認。
AAという根暗ないじめられっ子のことを覚えていて、そして認識し、更にイジメていたことを反省しているのかという。
配当金が100倍を超えるような、ギャンブラーしか狙わない大穴に少し希望を見出して、聞いてみた。
しかし、返ってきた答えは固い本命通り。
「QuizKnockライターのアイさんですよね」
Aは許す気もさらさらなかったが、あまつさえこの解答。
逆に有難かった。悪魔が一切変わっていなくて。
同情なんかせず、容赦なく復讐させてくれそうで。
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わらべ(プロフ) - 和奏さん» とても返信遅くなりましたがコメントありがとうございます！夢主のこと好きって言って貰えてこれ以上ないくらい幸せです！ひとくせある子が好きなので今回の夢主も気に入っていただけると嬉しいです！また読みに来てくださいませ！ (2022年1月23日 20時) (
レス) id: de37784df7 (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - わらべさんのお話はどれも夢主ちゃんのことが大好きになるので不思議です…更新のたび覆されてワクワクするし最高です〜！これからも応援してます。 (2021年12月31日 23時) (レス) @page44 id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
わらべ(プロフ) - すみれさん» コメントありがとうございます！好き嫌いが極端に出そうで中々進んで行かない作品ですが、本当に書きたいものを書きたいままやっていました！そこで1人でも好きと言っていただけたので本当に嬉しいです！更新は遅めですが頑張ります！ (2021年10月11日 20時) (レス) id: 34cdc8231e (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - めっちゃ好きです〜更新楽しみにしてます！！ (2021年10月8日 17時) (レス) id: 84d3b4ed7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わらべ | 作成日時：2021年4月17日 12時
