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どんな時も、呆れるほどに君ばかり ページ4

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「壱馬さん、今度のご飯会、Aさんも呼んでくださいよ」


「絶対嫌。」


「ほらー」



俺の顔を覗き込んでいた慎は俺の返答を聞くと少し離れた

ところに座っていた北人に話しかける。

それだけで粗方の展開の想像がついて頭が痛くなる。



「どんだけ過保護なの壱馬ってば。」


「過保護とかやないねん。」



週末、久しぶりにネクストの3人と俺でご飯を食べに

行こうという話になっていて。

Aさんをメンバーに紹介してからというもの、特に懐いてしまった

北人と樹は、なにかとAさんに会わせろと煩い。慎も慎で

しれっとその2人に加勢するから隅に置けない。お前は察してくれよ。



「もう半年は会ってないよ?」


「盛りすぎやろ。この前の飲み会の時会ったやん。」



行けるメンバー全員で行こうと12、3人で飲みに行った時、

酔っ払った北人のあまりのしつこさと、1人だとあまりご飯を

食べないAさんが心配な気持ちに負けてしまって、

その場にAさんを呼んだのがつい2ヶ月程前。



「その時俺殆ど話してないです。」



ぼそっと、しかしそれはそれは不服そうに呟いた樹。

おい慎、俺もです。やないねん。聞こえとるぞ。



「あれはAさんにもただ飯食いに来て貰っただけやから。
お前らの相手して貰う為に呼んだんやないねん。」


「そんなの、俺達の相手して貰う為に呼んでくれる時なんかないじゃん。」


陸さんが苦笑いした表情のまま通り過ぎて行った。助けて下さいよ。



「だいたいさあ、あんなに綺麗で優しい人俺らに紹介したら
こうなっちゃうの仕方なくない?俺らだって目の保養が欲しい!」



うんうん、といかにも最もらしい事を言ったような顔で

ぷんすか怒っている北人と、頷く後輩2人。



「目の保養なあ、確かにAちゃんほんまに綺麗やもんなあ。」



向かい側に座って我関せずといった雰囲気を醸し出していた

山彰さんまでそんな事を言い出しては、もう手に負えない。



「せめて写真ないの?あるでしょ、写真!」


「はいはい、北ちゃん、次呼ばれてるよ。」



これまた苦笑いしながら登場したリキヤさんにメイクさんの方を

指され、逃げんなよ壱馬!と言いながら向こうに行った北人を横目に、

そういえば昨日、一緒に映画を観たまま俺の膝の上で眠ったAさん

可愛かったな、写真撮っとけば良かったな、なんて。




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作者名:たる | 作成日時:2022年3月3日 0時

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