moonlit (ページ3)

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こんな風に世間から切り離されたような空間と時間の中では、

壱馬くんと一緒に過ごしていないと、夢現のように感じる。

彼と出逢う前の自分と出逢ってからの自分、

そして想像すらできなかった

今みたいな幸せな生活をしみじみと思い返しては、

いつ終わりがくるのだろう、その時私はどうなるのだろうと

考えるけれど、元々生きる事に執着がないからだろうか、

どこか他人事で。そのどれも、壱馬くんに話したら

きっと怒るんだろうな。ううん、彼は純粋に悲しむ方か。

朝ご飯ありがとう、いってきます。

早く会いたい

大好きです

連続で震えたスマホを確認して、そのメッセージに思わず頬が緩む。

ああ、壱馬くんに愛されている今は確かに現実なのだと

一緒に居ない時だってこうして感じさせてくれるから。

もう誰にも自分の事を傷付けさせないと虚勢を張っていたけれど、

本当はずっと寂しかったんだと、彼に出逢って気付いた。

愛される事があんなにも怖かったのに

過去やそんな虚勢ごと暖かく包み込んでくれる壱馬くんの前では

私はただの、恋人が大好きな普通の女の子で。

いってらっしゃい、頑張ってね。

私も大好き。

さっきまでどこか冷たくなりかけていた心は温もりを取り戻して。

そう返信してひとつ伸びをすると、また綺麗な世界との1日が始まった。

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