【場地圭介】狼さんは孤独がお好き (ページ26)

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3つ年下の妹、澪。

何をやらせても器用にこなし、明るく可愛い彼女は周りから愛されていた。

でも神様というのは残酷なもので、澪に1つの枷をつけてこの世に送り出したのだ。

澪は、生まれつき心臓が弱かった。

激しい運動は勿論できず、偶に出る発作で苦しむ彼女を見て、どうして私じゃないのだろうと何度思ったか。

両親が死んで1番困ったのは、お金のこと。

生活費や教育費だけじゃない。澪の治療費は結構かかるのだ。

治療をやめれば、澪はすぐに死んでしまう身体。

どうしよう.....と悩みながら迎えた中学生活。

そこで出会ったのが、アキ。

アキは、当時浅草を仕切っていたレディースのグループ、『桜吹鬼(さくらふぶき)』の総長で、私と同じ中学校に在席していた。

運が良いのか悪いのか、私は入学初日に桜吹鬼のメンバーに因縁をつけられ、校舎裏まで引っ張られ、集団リンチに遭う.....が、空手の経験があった私は、その場にいた全員を伸してしまったのだ。

そこでアキに勧められ、『魔天狼』を創立。

喧嘩に勝って、相手からお金を盗む。そんな行為を始めた。

まだ中学生でバイトもできず、勘当されてしまっていて祖父母と疎遠な私は、お金を稼ぐ方法がこれしか思いつかなかったのだ。

銀の髪とグループ名から、私は『銀狼』と呼ばれるようになり、その名前は浅草の不良界で知らない者はいない程。

学校から家に帰って澪の面倒を見て、夜中澪が寝付いた頃に家を抜け出し、喧嘩をする。

そんな日常が続いていた、中3になる前の春休み、事件が起こった。