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兄貴その49! ページ18



翌朝私はすぐ先生から呼び出され魔法薬学準備室へ向かった。フロイドと私の喧嘩で滅茶苦茶になったはずのガラスや地面も元通りに修復されており、文字通り夢を見ていたような気分だ。しかし再び首元に触れてみればその傷が記憶を鮮明に覚えていた。あの惨劇を繰り返すまいと細心の注意を払って教室へ向かう。
それにしてもあの完璧な建造物の修復、元の姿で生き生きとした花たちも含め全ての様子が妙だ。クルーウェルでもそこまでの高等魔法を使えるとは思えない。疑いたくはないがあのカラスが一つ食っている可能性がある。話が大きくなっている。

教室に入ってまず最初に言われたのは「駄犬どもが」だった。なんだかすごく腑に落ちないが、フロイドに乗せられて暴れたのは自分もだし、ここはひとまず「ごめんなさーい」と謝罪した。

「午前は事情聴取でたらい回しにされるのを覚悟するんだな」

『はぁ、どうせ同じことしか聞かれないし言わないんだからせんせーだけでいーのに』

「他の先生方もお前たちだけの相手ができるほど暇じゃない。大人の時間を奪っていることを自覚しろ」

『なら尚更そーじゃん』

わざとらしく大きな溜息を吐けば「ローズハート妹」と呼ばれた。その呼び方嫌い。

「よくも俺の担当している授業の時間に騒ぎを起こしてくれたな……と躾けてやりたいところだが、相手が相手だ。お前の反論も聞いてやろう」

十割向こうが悪いのに、という本音は黙って私は恋人ができた旨を上手く躱した事実だけを淡々と述べた。以上ですという代わりに紅茶を啜れば、彼は「それで終わりか?」と拍子抜けしたように言った。

『……まあ、腐っても友達ですし』

「それじゃあまだあると行っているようなものだが。全部吐くまで帰れると思うなよ」

『それって先生とずっと一緒ってこと〜?』

顎下で両手を合わせきゅるきゅるの上目遣いで彼を見つめれば、ハエでも払うように手で仰がれた。もうこの手は効かないかと諦めるように腕を下ろして白けた瞳に戻った。

『本当にただの喧嘩ですもん。学校の施設をめちゃくちゃにしたことは反省していますけど、私だって一発入れてやらないと気が済まなかったんです』

「リーチ弟の診察をしたのは俺だが一発なんてもんじゃなかっただろう……」

ゲッソリして珈琲を啜る彼の目の下には確かに徹夜色がくっきりと刻まれている。それに気が付いた私は尚更ばつが悪くなった。先生の変化に気づけないほど、私自分のことでいっぱいいっぱいだ。

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作者名: | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur  
作成日時:2024年2月15日 21時

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