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トレイくんその31! ページ13



「それで、どうして突然来たんだ?」

ミルクティーをすすりながら「ずっと音信不通だったろ」と言う彼の視線はテーブルの上を滑るように流れた。

『風の噂でキミがナイトレイブンカレッジに入学したって聞いているんだけれど、それは本当?』

「ああ。今はサマーホリデーなんだ。よく知ってるな」

『それでね、私実は……これ』

「これって……A、まさか」

私はテーブルの上に黒い招待状を置いた。そこには確かにA・ローズハートと名前が刻まれている。見覚えのある封にトレイは目を丸くした。

「でも、どうして……Aは女子だろ」

『わからない。けどこれを受け取ったときに真っ先にキミの顔が浮かんでさ。キミに伝えなきゃって思ったら家を飛び出してて』

「……はは、本当にお前はすごいな。前例がないよこんなの」

『リドルにも同じものが来ていたの。これってすごいことじゃない?』

目をキラキラ輝かせてそう言えば、彼は素直でまっすぐな目をで「すごいよ。おめでとう」と微笑んだ。彼が喜んでくれたことが本当に嬉しくて、元気よく「うん!」と答えた。

『NRCはどういうところなの?』

「あ〜……まあ悪い所じゃないよ。お前のお母様が見たら卒倒するかもしれないが」

『なるほど。説得するのに時間がかかりそう』

「Aこそ、NRCに進学を決めて良いのか?入学許可証が来たからって必ず入学しなくちゃならない訳じゃないだろ」

『どうして?キミがいるのに』

トレイは大きく目を見開いてすぐ顔を逸らした。頬が少し赤らんでいるのは照れているからだろうか。
私は少し首を傾け彼の顔を覗き込むように見た。

『他の男の子たちからキミが守ってくれるんだよね?』

「……善処しますよ、お嬢様」

耳まで真っ赤になった彼を揶揄うように頬をつついた。

『えへへ。照れてるの?お兄ちゃん』

「リドルをそう呼んでやってくれ」

『え〜ダメ?』

きゅるきゅると効果音がついた眼差しを彼に向ければ、彼は簡単に折れて「ダメじゃないけど」と困ったように笑った。私に死ぬほど甘いのがあの頃と変わってなくて本当に助かる。
すると彼は突然顔を上げて「そうだ」と何か提案しようとした。

「せっかくだしチェーニャもここへ呼ぼう。今連絡するから」

胸がドクンと大きく揺れた。彼は私とチェーニャの間に起きたことを何も知らないのだ。少しずつ私の呼吸が荒くなるのにトレイは気が付いていなかった。段々と頭から血の気が引いていくのがわかった。

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作者名: | 作者ホームページ:https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur  
作成日時:2024年2月15日 21時

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