燃え尽きた心 ページ9
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『もしかして、あそこにいるの寮長じゃありませんか？』
少し奥ばんだ展示場所の所にアズールと監督生が二人でいるのが見えた。何やら話し込んでいる様にも見えて、少し声をかけにくかった。
「何してるんだよ、早く行け」
『いや、ちょっとクラスメイトがいて気まずいというか……』
何故監督生がアズールと一緒にいるのか。Aは目を疑った。アズールがオーバーブロットしたことは知っているが、彼らの契約がどう落ち着いたのかは分からない。しかし、これだけは分かる。
「あの一年に完膚なきまでに叩きのめされてから吹っ切れたな、あいつ」
『言い過ぎじゃないです？』
アズールと監督生の間を取り持っていた身からすると、ちょっと近寄り難い。しかも何だか親しげに見える。今入っていくのは場違いではないだろうか。
「急がないと僕らは無断外出だから謹慎食らうぞ」
『わ、分かってますよ！ちょっとタイミング見計らってるだけで……！』
アズールが手に持っていた写真を壁にかけた。もしやあれが彼らの言っていた契約の品だろうか。内容はほとんど覚えていないが、ちゃんとアズール自身に落とし前をつけさせているらしい。なんだか監督生らしいな。
二人の会話に耳を傾けていると、少しずつ内容が聞き取れるようになっていった。
「あなたはもう、魔法より凄い力を持っています」
「え……？」
アズールは少し驚いたように監督生を見た。彼はいたずらっ子のように笑って言った。
「学園長を困らせた、稀代の努力家だ」
無事に和解している様子を見ると、もう自分は彼らの間を取り持つことはないらしい。Aはじっとその様子を見つめていた。彼は自嘲するように鼻で笑った。
「勝手に美談にするのはやめていただけますか？僕はただ、僕をバカにしたヤツらを見返してやりたかっただけですから。」
そう言った彼の顔は、オーバーブロットの名残りか少しやつれていた。しかし、満足そうにも見えた。わちゃわちゃと他のメンツが集まってくるのを見て、なんだか心がギュッと締め付けられるように痛んだ。
『……帰りましょう先輩』
Aがそう声をかけると、ユーゴは何も言わずにAの肩を軽く叩いた。
初めて自分で掴み取った居場所が、グラグラと地盤を緩めてもう安心して居座れる場所ではなくなってきている。Aはこのままでいいのかと自分自身に問うが、もうあの時聞こえた声は返事をしてくれなかった。今はただ、はやく陸の空気を吸いたいと強く思った。
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天(そら)(プロフ) - ｍさん» コメントありがとうございます。この作品は自分の夢と妄想でできた自分のための夢小説なので、自分以外の誰かから評価をいただけるのは本当に嬉しいです。自己満足の作品のため期待に添えるかわかりませんが、最後までどうぞ見届けてください。 (6月4日 22時) (
レス) id: 6c60cd58bf (このIDを非表示/違反報告)
ｍ(プロフ) - コメント失礼します。作品の中に惹き込まれ、いつの間にか一日中読んでいました。こんなにも綺麗で面白いお話に出会え、心から嬉しいなと思います。これからの展開や夢主の心境の変化等、ワクワクすることでいっぱいです。これからも心から応援しております。 (6月4日 15時) (レス) @page19 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天 | 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur
作成日時：2023年5月14日 15時
