薔薇と法律 ページ45
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暫くして、薔薇の木々の向こうから賑やかな話し声が聞こえてきた。どうやらやっと到着らしい。二人は声のする方へ顔だけ向けた。
「二人ともお待たせ〜！」
「全く、遅すぎて全員首をはねてしまうところだったよ」
「まあまあ、二人で積もる話もあっただろ？」
ヘラヘラ笑いながら入ってきた彼らは、テーブルにありったけのスイーツを並べていった。デュースはティートローリーのどこを持てば良いのかとワタワタしている。
「お茶を淹れなおしましょうかお嬢様？」
『結構ですわ。エース様も席にお着きになって』
「お前たち何をやってるんだ？」
そういう茶番もあり、二人はAの両サイドに着いた。彼らの寮服姿が様になっているのもあり、何だか居た堪れないような気もする。異質な黒と紫が、ポツンと不和の波紋を広げていた。
「なんの話をしてたんだ？」
「先週発表されたとある古代呪文の論文についてだよ」
「あー、そういう話はまた二人でドーゾ」
『なによ、丁度盛り上がってきたところなのに……』
別に話を遮られたことに文句は無いが、両隣でゲッソリされるのは気に食わない。ケイトやトレイは穏やかに笑っているだけだ。Aはふう、と溜息を吐いた。
『改めまして、この度は素敵なティーパーティーにお招き頂きありがとうございます』
「はいはい！いいから早くケーキ食おうぜ！もう腹ペッコペコ……」
『あ、こらエース！』
タルトに伸ばされかけた手の甲を、Aはバチンと叩いた。咄嗟のことで手加減が出来ずかなり強かったのか、エースは背を虫のように丸めて悶えていた。若干涙目でAを睨み上げる。
「ちょっと！？オレもう朝から何も食べてないんだけど！？」
『ハートの女王の法律･第89条「女王の許しなしにタルトを先に食べてはならない」』
Aがそう言うと、テーブルはシンと静まり返った。どうしてこうなったのか分からないAは、キョロキョロと周りを見渡した。デュースは困ったように驚いて、エースは拗ねたように下唇を突き出し、しれっとしている。ケイトは半分笑っていて、トレイは目をまん丸にしている。そしてリドルに視線を向けると、彼は吹き出すように笑い始めた。
「アハッ、キミ本当に何なの？」
『え、ま、間違ってますか？』
「ううん、間違ってないよ」
「そう、キミは何も間違っていない」そう言った彼が少し涙ぐんでいるのは、笑いすぎたせいに違いない。しかし、その言葉はAの胸で波紋を広げた。
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天(そら)(プロフ) - ｍさん» コメントありがとうございます。この作品は自分の夢と妄想でできた自分のための夢小説なので、自分以外の誰かから評価をいただけるのは本当に嬉しいです。自己満足の作品のため期待に添えるかわかりませんが、最後までどうぞ見届けてください。 (6月4日 22時) (
レス) id: 6c60cd58bf (このIDを非表示/違反報告)
ｍ(プロフ) - コメント失礼します。作品の中に惹き込まれ、いつの間にか一日中読んでいました。こんなにも綺麗で面白いお話に出会え、心から嬉しいなと思います。これからの展開や夢主の心境の変化等、ワクワクすることでいっぱいです。これからも心から応援しております。 (6月4日 15時) (レス) @page19 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天 | 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur
作成日時：2023年5月14日 15時
