黒く濁る ページ38
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『私たちが良ければいいじゃん、周りなんて。』
Aがそう言って、答える者はいなかった。当然だ。これで「じゃあ、これからもよろしく」とできるなら初めからこんな関係では無い。もっと善良であたたかい関係であったはずだ。しかし、この悪質で利害的な関係である我々でも、Aには思うところがあった。
『それに私の昏睡うんぬんよりアズールのオーバーブロットについて話を聞きたいんだけど？』
「解散しましょう。もう夜も遅い」
時刻はまだ20時を前にしている。何を言っているんだとAはため息をついた。彼の肩をバチンと叩いて「馬鹿じゃないの？」と言い放った。
『ブロットが溜まってたのは知ってた。でも、まさか本当にオーバーブロットするなんて……』
リドルやレオナに続き、今年だけでも三人目。そもそも発現することが少ないというのに、完全に異常事態である。「学園側も慣れたのか、かなり対応が早かったですね」と、ジェイドが他人事のように零した。オーバーブロット時のマニュアルがあるのもどうかとは思うが。
『流石におかしいと思わない？ナイトレイブンカレッジが名門魔法士養成学校だからって、いくらなんでも多すぎよ』
「Aさんの言う通り、現にロイヤルソードアカデミーにはこんな例はありませんし。おそらくあちらには過去にオーバーブロットした生徒もいないでしょう」
「そちらに着眼するとは、」
アズールは「てっきりオーバーブロットした理由を問い詰められるものだと」と、大きく目を見開いてぱちくりさせている。それはそれ、これはこれなのだ。
『理由はともあれ、まずは生きてたことが奇跡なわけだけど……』
「つーか、金魚ちゃんとかトド先輩がフツーにしてっから、生きててもあんま実感わかねー」
『ありがたみ薄くなるよね。生きてて当然、じゃないのに。』
魔法士養成学校に入れば、嫌でもオーバーブロットの歴史について学ぶ。悲劇ばかりだが、そこから学ぶものを糧にしていかなければ歴史の二の舞が起きかねない。しかし、このままナイトレイブンカレッジでのオーバーブロット事件が増え続ければ、それこそ教科書に載ってしまう。そんなことで父の隣には載りたくないのだが。話がそれたが、本当にオーバーブロットというものは危険であるのだ。
「……どうしても、順位がつくものは少なからずストレスになりますね」
Aはその言葉で嫌がらせの犯人のことを思い出した。彼だって、アズールと一緒だったんだ。
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天(そら)(プロフ) - ｍさん» コメントありがとうございます。この作品は自分の夢と妄想でできた自分のための夢小説なので、自分以外の誰かから評価をいただけるのは本当に嬉しいです。自己満足の作品のため期待に添えるかわかりませんが、最後までどうぞ見届けてください。 (6月4日 22時) (
レス) id: 6c60cd58bf (このIDを非表示/違反報告)
ｍ(プロフ) - コメント失礼します。作品の中に惹き込まれ、いつの間にか一日中読んでいました。こんなにも綺麗で面白いお話に出会え、心から嬉しいなと思います。これからの展開や夢主の心境の変化等、ワクワクすることでいっぱいです。これからも心から応援しております。 (6月4日 15時) (レス) @page19 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天 | 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur
作成日時：2023年5月14日 15時
