いでよ！ ページ31
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突然静かになった。さっきまでは壁から扉が剥がされそうな勢いで叩かれていたのに、ふいに音が無くなるのでAたちは不審に思った。Aはユーゴの隣へ、ユーゴはAの前へ出るように身を構えた。すると鍵穴からガチャンと鍵の回る音がした。ドアノブが回り、二人はそれぞれ魔法を放つ準備をした。しかし、ユーゴが部屋に入る際鍵施錠の上、閂まで閉めていたので扉は開かなかった。「そういえば、奴が帰ってきた時のために閂を入れていたんだった」と横から気の抜けるような言葉が聞こえた。
すると逆上した相手はまたドン！と扉を叩いた。ちょっとアホっぽいなと思い始めたAは、警棒を下ろして溜息をついた。
『先輩は扉を開けてすぐ隠れてください』
「部屋を破壊する魔法は避けろよ」
『でもこの人に私の部屋水浸しにされましたし』
ここは僕の部屋でもあるんだが、と彼は遠い目をした。そう言われたって、眠らせようにもAのユニーク魔法は相手に触れなければならない条件があるので、危険を伴う。「まあ、善処します」と突き放すように言った。
『出過ぎた杭は叩きのめすのがうちの流儀でしょう、先輩』
「……はあ、キミの好きにしろよ」
どうせしばらくは別の奴と同室になるだろうし。彼は諦めたように肩をすくめた。
壁にミシミシと亀裂が入ってきた。これではユーゴが扉を開けるより先に壊されてしまいそうだ。A的にはそっちの方が好都合である。
「三つ数えたら容赦なく撃て」
『了解です』
彼はもうほとんどネジが外れかけた閂に手を重ねた。防犯のため防衛魔法がかかっているはずなのにここまでボロボロになるとは。相手の体力も相当なものだ。Aは目の前の敵に集中するようにまっすぐ警棒を伸ばした。
ユーゴは「3、2、」と数えて閂を外し、「1……」とドアノブに手をかけた。勢い良く開かれた扉の向こうに、三つの人影が見えた。しかし魔法を放つ準備をしていたAは、扉が開いた条件反射で呪文を唱えた。
『いでよ大釜……！！』
「Aさんっ、無事ですか……！あ！？」
オクタヴィネル寮の廊下に巨大な鉄釡が現れ、彼らを押し潰した。ドッスン！とギャグ漫画の効果音のような倒れ方で。Aはあんぐりと口を開けたまま、目の前の光景を凝視した。
『アッ、アズール！？』
「ジェイド、それにフロイドまで……！」緊張が緩んだAは腰が抜けてよろよろと膝をついた。床に伏した四人を見て、ユーゴはあちゃ〜と頭を抱えた。
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天(そら)(プロフ) - ｍさん» コメントありがとうございます。この作品は自分の夢と妄想でできた自分のための夢小説なので、自分以外の誰かから評価をいただけるのは本当に嬉しいです。自己満足の作品のため期待に添えるかわかりませんが、最後までどうぞ見届けてください。 (6月4日 22時) (
レス) id: 6c60cd58bf (このIDを非表示/違反報告)
ｍ(プロフ) - コメント失礼します。作品の中に惹き込まれ、いつの間にか一日中読んでいました。こんなにも綺麗で面白いお話に出会え、心から嬉しいなと思います。これからの展開や夢主の心境の変化等、ワクワクすることでいっぱいです。これからも心から応援しております。 (6月4日 15時) (レス) @page19 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天 | 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur
作成日時：2023年5月14日 15時
