清廉潔白 ページ26
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あれだけエースや監督生に反論しておいて、今更彼のことを疑っている自分がいる。
Aはユーゴから渡されたマグカップを覗き込んだ。真っ赤なストレートティーに映る自分の顔は、酷く緊張しているように見えた。気が揺れているのか、紅茶の匂いもあまり感じられない。Aは気を落ち着かせようと、カップに口をつけた。ユーゴはルームメイトの物であろう椅子を引き出してきて、足を組んでAの正面に腰掛けた。
「キミって本当に無防備なんだな。呼ばれたらホイホイ部屋に行くし、何が入ってるかも分からないものに口をつけるし」
『えっ……！？』
「そんな不安がるなよ、僕が入れるわけないだろ。リーチたちじゃあるまいし」
彼は悪びれる様子もなく、しれっとした表情で紅茶をすすった。自分に盛られた魔法薬の話だろうか。Aは少し気まずくなり俯いた。
確かに、ジェイドたちに魔法薬を盛られたことは事実だが、A自身、そんなに気にしていない。何か理由があったんだろうし、Aに嫌がらせをしてくる生徒のような悪意を持ってしたことではないだろう。
『……仮に彼らが毒を入れたと言っても、それを飲めと言うのなら私は甘んじて受け入れますよ』
「……キミ、大丈夫？」
彼は「魔法薬盛られてから本当に頭おかしくなったの？」と、若干失礼な発言をした。さっきまで綺麗に澄ましてそっぽを向いていた彼の顔が、今は不愉快そうに歪んでいる。それでもAが意思を変えることはなかった。
『普段は軽口を叩いたり、ちょっとした喧嘩とかはしますけど、私にとって彼らは命の恩人で、家族なんです』
「家族って、キミ正気じゃないだろ」
『あたしは……！』
Aはユーゴの言葉を遮るように声を荒げた。彼は気圧されたように押し黙ったあと、まっすぐにAを見た。ゆっくり深呼吸をして、続きを言う。
『あたしは、最初からそのくらいの覚悟でこの寮へ来たんです。』
私が正気じゃないのは今に始まったことじゃないんです。
Aは弱々しくはにかんだ。誰にも分かってもらえなくていい。自分が彼らを信用している、それを彼らも知っている、それだけでいいのだ。他人の言葉など我々には必要ない。
Aの真剣な思いを受けたユーゴは、小さく溜息をついた。「変な話をしてすまなかったよ」と、彼は謝った。
「本題に戻ろう。確か、僕に話があるんだったか」
彼の瞳がギラギラ光る。濁りのない白、まるで彼の身の潔白を主張しているように見えた。
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天(そら)(プロフ) - ｍさん» コメントありがとうございます。この作品は自分の夢と妄想でできた自分のための夢小説なので、自分以外の誰かから評価をいただけるのは本当に嬉しいです。自己満足の作品のため期待に添えるかわかりませんが、最後までどうぞ見届けてください。 (6月4日 22時) (
レス) id: 6c60cd58bf (このIDを非表示/違反報告)
ｍ(プロフ) - コメント失礼します。作品の中に惹き込まれ、いつの間にか一日中読んでいました。こんなにも綺麗で面白いお話に出会え、心から嬉しいなと思います。これからの展開や夢主の心境の変化等、ワクワクすることでいっぱいです。これからも心から応援しております。 (6月4日 15時) (レス) @page19 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天 | 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur
作成日時：2023年5月14日 15時
