揺らぐ信頼 ページ25
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暗く澄んだ海に照明の光が吸い込まれて消える。群れをなす小魚たちは、人影に反応して素早く姿を眩ませた。Aはそれを気にも留めず、少し先を歩く彼を早足で追いかけた。
『……ユーゴ先輩っ！』
彼の名を呼んで引き止めると、彼は足を止めて振り返った。「なんだ、キミか」と何でもないようにAへ歩み寄った。
「今日で解禁か、意外と早かったな。アーシェングロットならもうラウンジに……」
『あの、私先輩に、言いたいことがあります！』
Aは彼が語り終わらぬうちから食い気味に言った。目上の人が喋り終えるまで口を挟むなとか、声が大きいとか、普段なら何かお小言を言うユーゴだったが、今日は一際声が小さかった。彼はAが見たことの無い顔をした。
これでもかと目をぱっちりとあけて、彼は信じられないと言わんばかりにAを見下ろした。冷静沈着な平生の彼からは、全く想像もつかない表情で。
「……ああ、僕もちょうどキミに言わなければいけないことがあったんだ」
二人で話したいから、僕の部屋に来てくれないか。彼からそう誘われ、Aは少したじろいだ。本当について行って大丈夫なのだろうかと。
そして、スカートのポケットの中、通話を繋げているAのスマホの向こう側では、監督生たちがオンボロ寮で盗聴していた。一応突撃できるように武装しているが、ユーゴの部屋など知らない監督生たちからすれば、万が一最悪の事態になった時に間に合うか分からない。何か別の策を巡らせているうちに、Aはさっさと「はい、お邪魔させていただきます」と答えた。監督生は頭を抱えた。
「ダメに決まってるよね！？」
「監督生が”本人に直接聞いてみるのが一番”とか言ったんだろ。それにこっちは音声切ってっから聞こえねーよ」
「だってそれは、ユーゴ先輩が犯人じゃなかった場合にお節介な人なら協力してくれるかなって思って……」
「お、おい、部屋についたみたいだ。静かに……」
監督生、エース、デュース、グリムはギュウギュウとくっついて一つのスマホを取り囲んだ。自分たちの呼吸音さえも煩わしいくらい集中していた。
「適当にかけてくれ。お茶でも入れよう」
『はい、ありがとうございます……』
そう言って彼がそっと部屋の閂を入れたのを、Aは見逃さなかった。後ろ手に内鍵も閉める彼を見るあたり、Aを部屋から出したくない。もしくは誰かを部屋に入れたくないようだった。Aはグッと唾を飲み込んだ。
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天(そら)(プロフ) - ｍさん» コメントありがとうございます。この作品は自分の夢と妄想でできた自分のための夢小説なので、自分以外の誰かから評価をいただけるのは本当に嬉しいです。自己満足の作品のため期待に添えるかわかりませんが、最後までどうぞ見届けてください。 (6月4日 22時) (
レス) id: 6c60cd58bf (このIDを非表示/違反報告)
ｍ(プロフ) - コメント失礼します。作品の中に惹き込まれ、いつの間にか一日中読んでいました。こんなにも綺麗で面白いお話に出会え、心から嬉しいなと思います。これからの展開や夢主の心境の変化等、ワクワクすることでいっぱいです。これからも心から応援しております。 (6月4日 15時) (レス) @page19 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天 | 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur
作成日時：2023年5月14日 15時
