同一犯 ページ16
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過去にも陰湿な嫌がらせを受けたことは多々ある。そのほとんどは犯人をとっ捕まえて懲らしめているし、大概の場合は日常生活に害はない。持ち物には軽い認識魔法をかけているし、一般生徒にはとけるような魔法じゃない。しかし、一つだけ解決していないものがあった。
『この筆跡、間違いなくアイツの……』
「誰のなんだ？」
『それが分かったら苦労してないわよ』
キツい口調で突き放すと、デュースは「す、すまない」と後ろへ下がった。机の上に置き去りにされた一枚の紙切れ、何の変哲もない、ただのノートの切れ端。そこに書かれているのは、Aの予想通りのものだった。
”絶対に許さない”それは過去に、Aの整理していた書類の中から出てきた脅迫状と全く同じ字体のものだった。
『……てっきり、寮長への嫌がらせかと思ってた』
「前にもあったの……？」
『ええ、前回のものはVIPルームの金庫の中に隠してある。アズールも知らないわ』
一周まわって冷静になったAは、冷ややかな瞳で何も無い壁を見つめた。この犯人こそ、コテンパンにしてやらないと気が済まない。絶対に捕まえて泣かせてやる。
「絶対に許さないって……お前なんかしたの？」
『わかんない。ちょっかいかけてくる先輩とかは結構どついてるかも』
「心当たりばっかりじゃねーか」
おかげでNRCは今日まで平和だっただろうが。Aはぐるぐると脳内を巡らせていたが、全く見当もつかない。こんなに荒れた部屋にいても何も変わらないので、一度談話室に移動しようと声をかけた。
『まず、前回も今回も寮内で起きたことだから、オクタヴィネル寮の生徒しか有り得ない。』
「確かに、他の寮の生徒がコッソリ寮に侵入……なんて、普通に無理だ」
廊下を歩くAはその足音から不機嫌なのがダダ漏れで、カツカツと踵を鳴らしていた。早歩きのAに追いつくので精一杯な監督生は「じゃ、じゃあオクタヴィネル寮の生徒で過去に問題があったのは？」と息継ぎしながら言った。Aは突然立ち止まって振り返った。
『オクタヴィネル寮の生徒に絡まれたことがないから、前回の時も犯人が分からずじまいだったのよ』
寮生は皆合理的だが、慈悲深くて信頼できる仲間だ。今まで何か嫌なことをされたことは一度もない。だから、だからこんなに困っているのだ。
『寮生を疑いたくない。でも、寮生以外にこんなことできる人、いないのよ……？』
涙こそ出ていないが、その声は酷く震えていた。
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天(そら)(プロフ) - ｍさん» コメントありがとうございます。この作品は自分の夢と妄想でできた自分のための夢小説なので、自分以外の誰かから評価をいただけるのは本当に嬉しいです。自己満足の作品のため期待に添えるかわかりませんが、最後までどうぞ見届けてください。 (6月4日 22時) (
レス) id: 6c60cd58bf (このIDを非表示/違反報告)
ｍ(プロフ) - コメント失礼します。作品の中に惹き込まれ、いつの間にか一日中読んでいました。こんなにも綺麗で面白いお話に出会え、心から嬉しいなと思います。これからの展開や夢主の心境の変化等、ワクワクすることでいっぱいです。これからも心から応援しております。 (6月4日 15時) (レス) @page19 id: 87bc4141db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天 | 作者ホームページ：https://marshmallow-qa.com/_sora_fleur
作成日時：2023年5月14日 15時
