#188 執行官の勘 ページ8
「志恩。調べて欲しいことが」
『もう色々と調べてる最中なんだけどぉ』
志恩さんは他の現場の調査も任せられているのか、明らかに不機嫌な声がスピーカーから聞こえてくる。
「ちょっとでいい。あんたを情報分析の女神様と見込んで頼んでる」
『…私おだてられると木にも登るタイプなのよね。で、何?』
でも慎也さんの【情報分析の女神様】というワードがお気に召したのか、手の平を返したように志恩さんの声色が軽くなり、機嫌が良くなったのがすぐに分かった。
……不機嫌な志恩さんを一瞬でその気にさせる慎也さん凄い。
「被害者藤井博子。彼女の周囲にトラブルは無かったか?」
『……………記録に残る程のものはなかった様ね…」
「……そうか」
慎也さんの考えは外れていたのか、少し考え込んで次の質問を志恩さんに投げかけた。
「なら、彼女の関係者に長い間外出していない人間はいないか?」
『外出していない?』
「あぁ。そいつは多分街頭スキャナーに引っ掛かったは一発でセラピー送りになりそうな容体だった……そんな奴だ」
『…なるほど』
志恩さんは慎也さんの意図が読み取れたのか、しばらく沈黙した後、それらしい人物を見つけたらしく1人の名前を読み上げ始めた。
「……こいつどうかな?伊藤純銘。職場の同僚…ここ2週間ほど病欠続きで健康管理指導の通達中」
そして、私達4人の端末に伊藤の詳細が記されたデータが顔写真付きで送られてきた。
「…住所は弦巻。そう遠くないな。とっつぁんはこいつ、どう思う?」
「そうだなぁ。証拠が何も無いからハッキリとは言えないが、ほぼ黒に近い容疑者って所か」
「一夜は?」
「怪しさ満点って感じですかね。今回の事件は愛憎が絡み合った恋絡みの事件な気がしてるんで。とりあえず職場の同僚の男性ってだけで私は犯人の疑いアリと思ってます。しばらく病欠で出社してないなら尚更」
「……だ、そうだ。俺達執行官はこの伊藤純銘が今回の事件の犯人の可能性が高いと睨んでる。俺としてはこのままこいつの自宅まで行きたい所だが……その判断を下すのは監視官。あんたの役目だ。どうする?」
「行きましょう。皆さんの推理と勘を信じます」
常守監視官は微塵も迷う様子は無く、即断で慎也さんの提案を受け入れた。
……こういう所が他の監視官と違う所なんだろうな。
「決まりだな。車を出してくれ」
「はい」
そうして私達は常守監視官の運転する車に乗って伊藤の自宅まで向かう事になった。
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シロリス(プロフ) - ご忠告ありがとうございます。手違いで外し忘れておりましたので、ただいまタグを外させて頂きました。 (2022年7月29日 0時) (レス) id: f7f4b00746 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 失礼します。この作品は二次創作でありながらオリ/ジナル作品になっています。ルール違反なので、オリジ/ナルのタグをきちんと外していただくようお願いします。作品を作られる際はルールをよく確認されて下さい (2022年7月29日 0時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シロリス | 作成日時:2022年7月29日 0時