#181 新たな事件 ページ1
〜護送車〜
「はぁ〜ああっと。結局現場じゃ大した事は分からなかったねぇ。てか無理でしょ？明確に殺意を持った人間がサイマティックスキャンに引っかからずに殺人を行うなんてさ。そうは思わない？一夜ちゃん？」
秀星さんの言う事は一理ある。
常識的に考えればそんな事は絶対に不可能だ。
だけど、常識の外にはその理に囚われない者も居る。
先天的に犯罪係数が0の槙島と、後天的に犯罪係数が0になってしまった私達のような者が。
けれども、それは極めて少数で稀有な例だ。
実際にそんな人間が私達以外に居るとは考え辛いし、居たとしても何故これまで目立った犯罪を為さなかった人間がこんなに目立って証拠も残るような犯罪を為したのかが分からない。
仮にもし、私が犯人の立場ならきっと人知れず目立たないように犯罪を為した筈だ。
サイマティックスキャンに引っかからないという特性上、監視カメラやスキャナーを気にせず自由に外を出歩けるし、犯罪を為すに適した場所や時間を選ぶのは当然の事。
いくらサイマティックスキャンに引っかからないとは言え、法に背く行いをした事が認められれば裁きの対象になるのは周知の事実。
私とて、その辺のお店から物を盗めば窃盗罪が適用されてそれに応じた罰を受けなければならない。
勿論、誰かを殺めたとしても。
だから結局私には分からないでいる。
人を殺してまで薬を奪うような残忍な心を持った人間が何故これまで大人しくしていて、今になって社会に牙を向け始めたのかが。
「私もそう思います。でも、事実として犯人は明確な殺意を持ったまま現場へ侵入し、人を殺して薬を奪っています。となるとやはり何かしらのトリックが必ずあると考えます」
「トリックって何さ？サイマティックスキャンを弾くバリア〜！とか？」
そんな便利なバリアがあれば逆に事態は単純だったんだけどね。
流石にバリアは無いかなぁ。
「バリアかどうかは分かりませんが、サイマティックスキャンを無効化する《何か》です。それを明らかにするのが今の私達の課題じゃないですか？」
「まぁ、そうだよね。さてどうすっかなぁ」
「おい。アレを見ろ」
私と秀星さんが頭を悩ませていると、狡噛さんが護送車の中に備えられているモニターを指を刺してソレを見るよう促す。
「何……コレ……？」
モニターに表示されていたのは、ヘルメットを被った誰かが女性に馬乗りになってハンマーで殴っている映像だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シロリス(プロフ) - ご忠告ありがとうございます。手違いで外し忘れておりましたので、ただいまタグを外させて頂きました。 (2022年7月29日 0時) (
レス) id: f7f4b00746 (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 失礼します。この作品は二次創作でありながらオリ/ジナル作品になっています。ルール違反なので、オリジ/ナルのタグをきちんと外していただくようお願いします。作品を作られる際はルールをよく確認されて下さい (2022年7月29日 0時) (レス) id: 09c503bb24 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シロリス | 作成日時：2022年7月29日 0時
