私と影の日記帳

ぎくしゃくした気持ち。　クロ視点 ページ9

・・・黙ってしまったが、別に考え事をしていただけ。

そんなこと、言ったら白音はどうなるかな。

たぶん、ひきつった笑顔をして、

「そうだったの？よかった！」

なんて言うのだろう。

・・・そんな顔、見たくもない。嘘はついてほしくない。

だから俺がいるのに。ただの役立たずなんだろうか。

コンコン。

ドアをノックする音が聞こえた。

「・・・誰だ？」

「わたし。ちょっと話があるんだけど・・・いい？」

白音のほうから来るとは思わなかったから、少し驚いている。

「・・・どうぞ。」

ガッとスライド式のドアが開く。

「へー・・・意外ときれいなんだなぁ・・・じゃなくて！」

「長話になるようであれば、座ったらどうだ？」

・・・これでも、優しく言えるように頑張ってるんだ。それが難しくて。

「いいの？」

「うん。」

白音が椅子に座る。

「で、話は？」

平然を装うのは、白音だけじゃないようだ。

「あのね、昨日から黒音は黙り込んでたでしょ？その理由を聞きたくて。」

予想通りの質問が飛んできた。

「あ、ああ。あれは、いろいろと考えてたり、空想にふけっていたりしていただけだ。」

完全なる言い逃れ。嘘そのもの。

でも白音は、本物の笑顔で言った。

「ああ、そうだったんだ！よかったー！」

そのストレス解消したような、爽やかな心からの笑顔。

「ねえねえ、それだったらさ、またどっかに遊びにいこ！」

「・・・うん。」

「やった！」

頼むからちょっと一人にさせてくれなんて、絶対に言えない状況。

「じゃあ、ね。同じ家にいるけど。」

「うん。」

白音が部屋を出ていく。ドアが閉まる音と同時にベッドに飛び込んだ。

「はぁ・・・」

さっきからうん。としか言わない俺と、あの爽やかな笑顔の白音。

差がありすぎる！

１時間ほど布団に潜り込んでいたわけだけど、夜ご飯の時間になり、

「黒音ー！夜ご飯ー！」

って、白音が叫ぶ声が聞こえて飛び起きた。

白音のお母さんが日直でいないため、２人きり。

今日の夕食は、春雨スープ。味付けが程よくて、いい味になってる。

つまりはおいしい。

「黒音、いただきますって言ってなかったよね。」

「あ、いただきます。」

「で、味はどう？」

「とってもおいしいよ。」

「やった！」

嬉しそうな白音の顔に、春雨スープの野菜がついていた。

「・・・顔。野菜ついてる。」

「あっ、ほんとだ・・・ありがと。」

こうして、無事に仲直りできた。本当によかった。

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