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三百五十八話 ページ29

吊戯「狼谷吊戯17歳で――…」

人さし指を立て、いつものように自己紹介を始める。
…皆が驚いたのはこのことだったのか?

吊戯さんも自分の言ったことにおかしいと感じたのか、言葉を止めた。

吊戯「…や、あ――…えっと…いや…
 に…じゅう…さん…?」
盾一郎「…26、だろ…吊戯」
吊戯「…あ」

不安そうに自分の歳を言うも、盾一郎さんに訂正される。

…まだ完全に治ってない。
後遺症のようなものだろうか。

吊戯「ああ! あーそっか! そうだ、うん!
 いやー、気持ちは永遠の17歳って感じでね! はっは!」

愛嬌のある言い方で話していた。
平気そうに明るく振る舞っているものの、
先程からある様子のおかしさから安心できない。

塔間「…確かに、少し(・・)調子がよくないようだ
 強めの安定剤を手配しておくよ」

その様子を見た塔間さんは、
ベッドの横を通り抜ける際に軽く頭を叩くだけだった。

…それだけである。
誕生日のことを聞いたとき、ちょっとお父さんっぽかったのに…

そのまま去ろうとする塔間さんに、盾一郎さんがつかみかかった。

盾一郎「こいつは…お前の出世の道具じゃねえんだよ!」

普段のおふざけに軽く怒り方ではない。
鬼のように怒っていた。
殺気も含んでいる視線で睨みつけている。

塔間「…はは、懐かしいな
 君はC3入社初日…同じことを言って、俺を殴ってくれたよなあ
変わらないなあ、君も俺も…吊戯(こいつ)も」

目の前に激怒している人物がいるというのに、
銃のときと同じように平静に嘲笑した。
ここまで来ると、そんな精神力に感心してしまう。

吊戯「ああ待って盾ちゃん、オレ平気だって! ね?
 この人わざとこう嫌な言いかたするのが 好きなだけなんだから」
塔間「耶節先生に用があってね。席を外してもらえるかな」

吊戯さんが盾一郎さんを止め、塔間さんはネクタイを掴む手を外す。

顔色が悪いのが遠くからでもわかるけど、本当に大丈夫なのか…?

弓景「…くそ
 コイツと話してっと、頭おかしく…なりそうだ」
盾一郎「…吊戯。また…後で」

盾一郎さんに促されて部屋を出る。
二人きりにして大丈夫なのかと振り返って見た。

塔間「…道具だなんて、なあ吊戯
 そんなことないよなあ
どちらかといえば…」

吊戯さんに向けて話しかけている。
…それに対する答えは聞こえない。
でも、

塔間「家族みたいなものだよなあ」

閉ざされていく扉の中に、吊戯さんの笑顔を見つけた。

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作品ジャンル:アニメ
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識玖(プロフ) - ハムハムさん» コメントありがとうございます!いえいえ、ご指摘いただけて嬉しいですm(_ _)m 今現在、必要な部分を一巻から多めに書かせていただいております。アドバイスなどありがとうございました! (2016年9月23日 19時) (レス) id: ec5b32c672 (このIDを非表示/違反報告)
ハムハム - あと夢主を多くだすなら漫画の場面全て書くのではなく、夢主の行動がわかる必要な部分をなるべく書くようにするといいとおもいます!更新頑張って下さい! (2016年9月22日 21時) (レス) id: 895fe76255 (このIDを非表示/違反報告)
ハムハム - いつも楽しく読ませていただいております!355話のフードを咥えさえる理由何ですが“痛みに耐えるため”ではなく“舌を噛むことを防ぐため”です!ハツコメなのにいきなりの指摘で申し訳ありません! (2016年9月22日 21時) (レス) id: 895fe76255 (このIDを非表示/違反報告)
識玖(プロフ) - マリモルンさん» コメントありがとうございます!やはり妹さんの出番少ないですよね; 無理に入れると矛盾が生じてしまうのが怖いので、なるべく発言は心の中にしていました・・・せめて真昼などの身近な人達と一緒のときはなるべく話させるようにさせていただきます! (2016年2月11日 19時) (レス) id: ec5b32c672 (このIDを非表示/違反報告)
マリモルン(プロフ) - いつも読んでます!!でも少し欲を言うならもう少し夢主を出していただけると嬉しいです。夢小説なのでその主人公が出ていないのは夢小説と言えるのでしょうか...意見してしまい申し訳ありませんでしたこれからもがんばってください! (2016年2月11日 7時) (レス) id: 5e0941f9d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:識玖 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/silky04062/  
作成日時:2016年1月30日 22時

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