調理場は宇宙空間(納棺師、踊り子、黄衣の王) ページ16
「このサウィンの実というのは食えるのか?」
「食べられなくもなさそうですが」
「なら料理に使ってみるか」
邪神様の一言が調理場に波乱を起こした。
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サウィンの実、ハロウィンのイベントだからと言われ荘園で大量に配られていた。毒性はなくそのまま食べられたらいいのだが食べてみると渋すぎて調理しても食べられるかどうか微妙な味だった。
「あの、言いづらいけどこれって鑑賞用では」
「何を言う、お前の国では渋い木の実さえ灰汁を抜いて食べると言うだろう?」
黄衣の王の言う通りだ、渋い木の実…と言われたどんぐりは灰汁を抜いてしまえばクッキーに入れることかできる。だがこれは別だ、あまりにも渋すぎて隣にいたカールさんがなんとも言えない顔をしている。
「灰汁を抜いてもこんなに渋いなんて聞いてない……不味い」
「これだから人間は我儘であるな…どれ、我が試食……」
サウィンの実の欠片を食べた黄衣の王は固まってしまった、そのまま天井を見つめて数分後、彼から「食えぬ」と言葉が返ってきた。
「だが仕方あるまい、これを克服しての料理長だ…しかしここまで渋いと…」
「あなた達まだ調理場にいたの?」
黄衣の王がサウィンの実を砕こうとした矢先、様子を見に来たツェレさんが呆れたように聞いてくる。手にはサウィンの実の形をしたお菓子が詰め込まれた袋を持っていた
「あ、ツェレさんそれは!?」
「まさか踊り子…お前…!」
「馬鹿なこと言わないで…あのね、その実は食べられないの?だからあなた達がどう足掻いても不味いの。これはサウィンの実イメージしたクッキーよ。仕方ないからあなた達に差し入れ」
後片付けはしっかりね、と言い残しツェレさんは軽い足取りで去っていった。調理場に残された私たちは呆然としたながら片付け作業に入ったのだ。
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薄荷ゼリー(プロフ) - 通りすがりさん» コメントありがとうございます、更新率は低下してますが今後もご愛読頂ければ思いますm(*_ _)m (2021年12月28日 12時) (レス) id: a93fc2bc72 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - ドキドキする話やクスッとくる話、色々あって読んでてとても楽しいです!(≧∇≦)応援してます⸝⋆* (2021年11月20日 15時) (レス) @page11 id: 2f87ec2489 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:薄荷ゼリー | 作成日時:2021年6月14日 20時