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いよいよ幕が上がって、暗いカーテンの陰から舞台を見つめた。
色々あったけれど、今こうして自分も関わってきたきたものが形になっているのを見ると、感慨深い気持ちになった。
最初の方はみんな明らかに緊張した様子が見て取れたけれど、だんだん会場の雰囲気に慣れて、さらにはこの場の空気を支配していた。
体育館にいるお客さんたちと一緒に、この場にいる全員で一つの劇をを創り上げていた。
最後の方はみんな、生き生きとした楽しそうな顔で演技をしていた。
充実した、心の底から楽しんでいるような、キラキラと輝いた笑顔だった。
盛大な拍手が、波のように迫ってきた。
舞台の一番端にいた子が、「来て来て」と舞台袖で待機していた私たちを手招きした。
「出ていいの？」と紬が聞くと、「うん」とその子が笑顔で答えた。
まさか舞台に上がることになるとは思わなかったけれど、私は覚悟を決めて、光溢れるステージへと足を踏み出した。
スポットライトで体が焦げてしまいそうな熱さの中、全員で手をつないで「ありがとうございました！」と言って、お辞儀をした。
リハーサルではやらなかったことだからびっくりしたけれど、全員のタイミングがきれいにそろったのが伝わってきた。
自然と、笑みがこぼれた。
隣の紬と佐倉くんも、輝いていた。
自分のクラスの上演が終わった後も、私たちは冷めやらぬ興奮に包まれていた。
「すごいよかった！」
「うん。最高だったよね！」
そんな会話をしながら、出番が終わった安心感とともに、みんな思い思いの場所に散らばっていった。
紬は売店で使う当日券を買いに、チケット売り場へとダッシュしていった。
「買ったら戻ってくるから待ってて」と言われて一階の階段にいたものの、紬は二十分経っても帰ってこなかった。
流石に心配になって、人ごみに紛れながら紬を探す旅に出た。
やっとのことで販売場所の近くまでたどり着いたものの、そこに紬の姿はなかった。
まだ近くにいるかもしれない、という淡い期待を込めて周囲を見回したけれど、あまりにも人が多すぎて、紬が見つかるはずもなかった。
「どうしよう……」
連絡手段を持たない不便さをとことん突きつけられて、涙がこぼれそうになった。
何とか戻った教室には、一人だけスマホを触っりながら音楽を聴いている人がいた。
「佐倉くん」
「青羽と一緒じゃないのか？」
「それが、はぐれちゃって……」
状況を簡単に説明すると、佐倉くんは「分かった。探すの手伝う」と即答してくれた。
こうして、再び紬を探す旅が始まった。
今度は佐倉くんという、心強い味方と一緒に。
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