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「3年間続ける部活、そんなに適当に選ぶのマズいだろ。何か考えとく」
「考えるって、何を？」
「俺が、助けたいだけだから」
「えっ……」
助けるって言った？
佐倉くんのことだからきっと何かやってくれそうだけど、申し訳ない気持ちもある。
でも、自分と似たような境遇の人が身近にいてくれるだけですごく安心するから、佐倉くんとは真逆でいつも以上に饒舌になってしまう。
それがうれしくて、幸せで、部活のことなんて忘れて舞いあがってしまいそうだった。
その日の放課後。
ホームルームが終わった瞬間そそくさと荷物をまとめて帰ろうとした私の肩を、誰かがそっと叩いた。
「Aちゃん、だっけ？」
「…はい」
びっくりして振り向くとそこには、ポニーテールをふわりとなびかせたかわいい女の子がいた。
「いきなりだけど、時間ある？」
「あ、はい」
「部活見学行かない？」
「部活見学？」
「部活決めてないみたいだったから、一緒に行こうかなって思って。どこか行きたいところある？」
「あっ、いえ、まだ何も……」
「そっか。じゃあ、私行きたいところあるんだけど、一緒に来てもらっていい？」
「はい……」
「ありがとう。行こ」
ドキドキしながら歩いていると、その子の方から色々話を振ってくれた。
「私の名前は、青羽紬。よろしくね」
「よろしくお願いします」
あの自己紹介の時と、一ミリも変わらない笑顔。
初対面の人に対して壁を作らず好意的な態度を取れるのは、尊敬に値する。
私なんか壁どころか、鉄筋コンクリート造りの建物を即効作って、その中から一歩も出ようとしないのに。
青羽さんは、そんな強固で寂れた建物わざわざ訪ねて扉を叩いてくれた。
「Aちゃん、どこの中学校だったの？」
「えっと、ここからだいぶ離れたところの、県外にある学校です」
「そんなに遠いところから毎日来てるの？」
心底驚いたような表情で、聞かれた。
「春休み中に、引っ越したので」
「なるほどね」
一つ気になることがあって、頑張って聞いてみた。
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