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次の日学校に来た時から、紬の視線を感じるようになった。
でも見張られているわけじゃなくて、見守ってくれているという印象だった。
心配かけているんだろうかと思ってしまって、私だけ何だか気まずかった。
「何かあった？」
昼休みにお弁当を食べていると、イヤホンを耳に刺したままの佐倉くんにそう聞かれた。
「ううん、何で？」
「直感だけど、青羽と何かあったのかなって思って」
どうしようかと混乱しているうちに、「半分合ってる」と言葉が口をついて出てしまった。
「残り半分は？」
「えっと……何でもない」
「嘘だな」
佐倉くんに即答されて、固まってしまった。
「ちゃんと言わないと」みたいなことを言われるんだろうかと、不安や恐怖でいっぱいだった。
「何でもない。ほんとに」と、開花シーズンを終えて枯れてしまったサクラソウに向かってつぶやいた。
キーンコーンカーンコーンと、チャイムの鳴る音が聞こえてきた。
「帰ろ」と私が言うと、佐倉くんは案外すっと「そうだな」と言ってベンチを後にした。
それ以降、何もないと思っていた。
「A」
信号待ちで突然、誰かから声をかけられた。
振り向くと、私を追いかけて走ってきたような佐倉くんがいた。
「どうしたの？」
「さっきの、続き」
「続き？」
「うん。今日の昼休憩に、言おうと思ってたこと」
「……何？」と聞き返した声が、自分でもびっくりするほど弱々しかった。
「別に俺が思ってること言うだけだから、気楽に聞いてて」
「分かった」
ホームで電車を待っている間、いつもしているイヤホンを外して、佐倉くんが話し始めた。
ひんやりとした秋風が、いつもの何倍も冷たく重く感じられた。
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