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一抹の不安を抱えながらも、私は今が人生の絶頂期ではないかと錯覚してしまうような毎日を送っていた。
こんな私でも幸せになっていいんだ、と少しずつ納得できてきた時のことだった。
それは突然、始まった。
神様もなかなか残酷なことするよね。
ようやく幸せを掴めそうになった人間からだって、容赦なくそれを取り上げる。
急なことだったけれど、私は別にそれで動揺することはない。
だって、既に経験済みのことだったし、ある程度予想できていたことだから。
だからなくなった靴を探している間、こんなに冷静でいられたんだと思う。
用事があるから部活に行かずに帰ろうとしたら、靴がなかった。
単純に、それだけのことだった。
掃除でゴミ袋を捨てに行く時に通ったのと同じ道を、のろのろとたどった。
「一般ごみ」と書かれている、ペンキの剥げかけた蓋を開けると、案の定探していたものは見つかった。
ほこりを払ってから自分の靴を持って、再び靴箱へ向かった。
脱いだ上履きを入れようとしたら、さっきまで何も入っていなかったはずの自分の靴箱に、半分にちぎられたルーズリーフが突っ込まれていた。
適当に広げてみると、そこには走り書きしたような字で一言「ふつりあい」とだけ書かれていた。
一瞬何のことか分からなかったけれど、すぐに気づいた。
文字の下にピンクの蛍光ペンで、これも適当な散りかけの桜の絵が描かれていた。
毒々しい濃いピンク色が視界に飛び込んできて、眩暈がしそうだった。
ルーズリーフをぐちゃぐちゃに丸めてスカートのポケットに押し込んでから、急いで校門を出た。
楽しそうにしゃべりながら道を歩いている学生が、恨めしかった。
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