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「やった〜！」という声が、真正面から聞こえた。
私は茫然として、ただその場に立ち尽くした。
……負けた。
どうしよう。
「女子決まったんだし、男子も早く決めろよー」
先生に発破をかけられて、男子も仕方なさそうに集まった。
「女子のあの子、誰？」
「そもそもどこ中？」
「青羽さんとならやりたかったけどな」
「黙っとけって。聞こえたらどうするんだよ」
ひそひそ声の男子たちの会話が、嫌でも耳に入ってきた。
分かってはいたけれど、実際にその現場に遭遇すると何回だって辛くなる。
お願い、この際誰でもいいから早く決めて……。
「俺やる」
思わず、自分の耳を疑った。
男子も女子のように、じゃんけんするものとばかり思っていたのに。
あちこちで「えっ……」という声にならない声がした。
「じゃあ2人、こっからお願い。2人は前に来て、2人以外は席ついて」
前に出てきた人と目が合って、思わずフリーズしてしまった。
ついさっき、昼休憩に会ったばかりの人だ。
「委員会名と人数、黒板に書いてくれる？」
「はい」
字に自信はないけれど、何とか少しでもきれいに見せようと四苦八苦する。
「じゃあ、入りたい係のところにネームプレート貼って。人数が多いところはじゃんけんで」
テキパキ司会を進めてくれて、感謝しかない。
でも、「ありがとう」の一言すら言えなくて、ひたすらその人を見つめるだけになってしまう。
「よし、2人ともありがとう。席戻ってくれていいよ」
私が何もしていない間に、委員会は全部決まったみたいだ。
お互い小さく会釈してから、席に着いた。
隣が気になって、その後も全然話が耳に入ってこなかった。
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