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「紬、これは何してるの？」
「ああ、札分けしてるんだけど、札の左下に書いてる数字……札番号っていうんだけど、この数字の十の位か一の位の数字の組み合わせによって、百枚の札の中からランダムに五十枚選ぶんだよね」
「そんな風に分けるんだ」
「うん。今日は一の位が〇、一、二、六、七だから、それに該当する札とそうじゃない札を、みんなで分担して分けてる」
「分かった」
みんながすごい速さで札を分けている中、私は一枚一枚ゆっくりと数字を確認して、札を左右の山に分けていった。
「分け終わったら枚数数えて、五十枚あったら成功ね」
「一枚足りないんだけど」「どっちがミスった？」という会話が聞こえてきた。
私より経験値の高い先輩たちでも、そういうことってあるんだな。
ちなみにそのあと私が札を数えたら、五枚も足りなかった。
どうやら、六と九を見間違えていたらしかった。
いちいち札の向きを見やすいように直していても、私は札分けを間違えてしまう。
それなのに先輩たちは、札が逆さまになっていてもお構いなしに、しかもしゃべりながら手際よく札を二つの山に分けて置いている。
六と九なんて間違えずに判別できるのか疑問だけど、これも決まり字と一緒で、慣れの問題なのかな。
先輩たちが試合場所を決めるじゃんけんをしている間、私は自分で座布団を取りに行って、それを紬の試合場所の真横に置いた。
「全員が札並べ終わったぐらいから十五分時間を取ってほしいんだけど、残り二分になったら知らせてね。この茶色の機械は『ありあけ』って言って上の白いボタン押すだけでいいんだけど、試合中は全員手が下がるまで押さないでね」
「分かった」
「上の句と下の句の間は、絶対動かずに物音を立てないで。それさえ守ってくれれば、座り方とかは何でもいいよ」
「ありがとう」
紬からちょっとした説明を受けてから、私は座布団の上に座った。
みんながそろったところでお互い「お願いします」と頭を下げてから、山になって置かれている五十枚の札を一気に崩してシャッフルし始めた。
いよいよ試合が始まるのだと思うと、見ているだけで何もしない自分まで、ドキドキしてきた。
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