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[healer]
▶︎回想
好ましく思いこそすれ、それを伝える気は毛頭なかった。
だって私、200年以上生きてるし、人間じゃないし。何より、佐伯くんには怖がられてたし、私みたいな可愛げのない女なんか眼中にもないでしょう。
「Aってさぁ、優秀でいい子なのに、結構自己評価低いよね」
「…あんたらが、私を買い被りすぎなのよ」
「照れ隠ししなくていいじゃないですか〜」
「頭を！撫でるな！！！タコ！！」
「ふっ」
「笑ってんじゃないわよ小柳」
「Aー、そこのペットボトル取ってくれん？」
「はいはい」
騒がしいDytica4人に呆れても、もう見慣れているのか…平然とお菓子を食べる伊波、ニコニコ笑っている星導、普通にゲームを続ける小柳と叢雲。
…人のこと猫かなんかだと思いやがって。
「Aは可愛いよ、大丈夫」
「…あんたらに、しかも伊波に言われても反応に困るわね」
「え〜、どういう意味〜？」
「その顔で、可愛いの自覚してるやつに言われてもな…」
「つまりAにとってもオレは可愛いってワケ。やったね♪」
「ウッッザ…」
――――――――
――――――
――――
▶︎現在
一瞬躊躇って、でも今まで相談に乗ってくれたのはあいつらで、それは不義理ではないのかと思い直して、指に力を込める。
…相談といっても半分くらい茶化されてたような気もするが。
「はーい、もしもしー！珍しいね？Aからなんて」
「…ん、ちょっとね」
「言い淀みますね？」
「…あんたらには一応言っておこうと思って、連絡しただけだから」
「ん？」
「さ…佐伯くんと付き合うことになった。…終わり」
「待って待って切ろうとしないで」
「無理…心臓バクバクしてるの…」
わちゃわちゃした声を聞きながらゆっくり息を吐く。
はっきり言って、まだ実感が湧かない。夢みたいだ。
「っていうか！！何でこんな大事な報告、通話なの！？」
「え？あんたらも忙し」
「今どこにいんの？」
「？？拠点だけど。書類まとめ終わって、あんたらと通話してる」
「今は暇なんですね？じゃ、今から行くんで」
「逃げても捕まえるから、そのつもりでな」
「は！？それは忍者の技術の無駄使い過ぎる…てか逃げな、切れてる…」
…本当にバカなやつら。バカなんじゃないかと言いたくなるくらい、私を買い被っている友人達。
はぁ、お菓子の用意しておくか。報告したら終わりにする気だったのに、随分長くなりそうだ。
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
