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「Aちゃん」
「え、あ……」
「俺、君のことが好きだ。そっけないように見えて、本当は誰よりも優しくて、俺達の事気にかけてくれるところも、真っ直ぐな信念を抱えてこれまで頑張ってきたところも。全部好き」
「！？！？！？」
「…ってあれ、ごめん。伝わりづらかったかな。だから…応援するって言ったけど、君の恋路は応援できない。君の好きな人がどんな人かわからないけど、その人に負けたくない。いつも、ヒーローのことを考えてくれてる君のことを、支えたい」
「えっと……」
「君が好きになるんだから、きっとうんと優しい人なんだろうなってことはわかるよ。でも…俺のこと、視界に入れて欲しいかな」
「あっ、え…！？」
動揺している様子の彼女との距離を縮める。
夕日のせいで顔が赤く見えているのかと思ったけど、どうやらそういうことではないらしい。
「…俺のこと少しも意識してないのもわかってる。はっきり言ってくれて構わない。でもちゃんと伝えたくて」
「ちょ、ちょっと待って！…その、言わされてる…とかじゃないわよね？」
「え？」
「あいつらとの罰ゲームとかで…セリフ言わされてるとか？あいつら、どこかに隠れ潜んで…」
「…OriensとDyticaのこと？違うよ。俺の本音。俺が、Aちゃんを好きだって伝えたかっただけ」
「そ、そうなの…」
「うん。皆は関係ないよ」
“罰ゲームでこういうこと言うと思われているのか”と、若干ショックを受けていると、彼女の様子がおかしいことに気づく。
動転して、混乱しているようだった。
「でも…罰ゲームでもないと都合が良すぎる…」
「…Aちゃん？」
「さ、佐伯くんが…私のことを好き…？」
「そうだよ、好きになったのもそうだって気づいたのも最近だけど。それでも、君のことを理解したいって思うのは本当だよ」
「……その、私の好きな人は」
「うん」
「戦場に迷い込んだ子供を見たら、迷わず助けてしまうような人で…一人では敵わないような敵を前にしても、“誰か”を助けるために一人で戦ってしまうような人」
「……ふむ？」
なんだろう。どこかで聞いたような気がする。
どこでだろう。首を傾げていると、彼女と目が合った。
その瞳は真っ直ぐ僕を見ていて、でも目が揺れていた。動揺しているような、驚いているような、少しだけ怖がっているような。そんな目をしていた。
「私、私ね。…ずっと前から、佐伯くんが好きなの」
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
