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時間は夕方。公園で、彼女を持つ。
…初めて会った時、綺麗な人でちょっとキツい人だなと思って、それからしばらくは彼女を怒りっぽくて怖い人だと思ってきた。怒りつつもちゃんと手当てをしてくれる人だし、俺以外とは仲良かったし、悪い人じゃないんだろうとは思ってたけど。でも、こんなふうに好きになるなんて微塵も思ってなかった。
今は、彼女の優しさも、心配もわかりつつある。だから、彼女の横に立ちたいなって思うようになった。強欲だということは分かってるけど。
何度目かの深呼吸。
足音に気づいて、そちらに顔を向けるとAちゃんが立っていた。
「佐伯くん」
「…ごめんね、急に呼び出して」
「ううん、私も家にいただけだから大丈夫よ」
「君の場合、家に帰れるのが貴重なくらいだと思うけど…」
心当たりはあるのか、彼女は曖昧に微笑んだ。
彼女は多忙になると、拠点の仮眠室で休息をとり、また仕事をする。そんな日々になりがちで、優秀故に急に呼び出されることも少なくない。
家に帰って休む機会は貴重といって差し支えないだろう。
そんな時に呼び出したことへの罪悪感と、僕が突然呼んだというのに応じてくれたことへの嬉しさが募る。
…しっかりしろ。
「それで…どうしたの？仕事の話じゃなさそうだけど…突然だったし、大事な話かしら」
「うん。大事な話…なんだけど、君が思ってるようなものじゃないと思う。ごめん」
「？」
「その…」
話しながら、ベンチに二人で座ると彼女の目を見て口を開いた。
…覚悟は決めてきた。大丈夫。
「Aちゃんの好きな人って、どんな人？」
「！？！？えっ、なまっ…すきなひとって、えっ」
「…ごめん、言いたくなかったかな」
「え、あ…いや、違うの。先日の答えで満足してたと思ってた。…星導にまた何か言われた？」
「ううん、俺が気になっただけ。…同僚さん、とかなのかな」
「え、っと」
「それともヒーロー？関わりが多いのは…やっぱり東の人なのかな。…もしかして、OriensとDyticaの中にいる？」
「それ……は」
「よく話してるのは…誰だろうな。なんだかんだ皆のこと気にかけてくれてるもんね」
「…きゅ、急にどうしたの？佐伯くん、こういう話好きだった…？」
「えーと…まぁ、そうなるよね」
言いたくないのか、目が泳いでいる彼女をじっと見つめると、彼女がたじろいだ。
…応援するって言っといて、何言ってるんだって話なんだけどね。強欲でごめん。
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
