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手当てが終わって、ため息を吐いているとリト君がやってきて、微笑んだ。
すぐに手に持っていた何かを投げてくる。
「え、わっ！？きゅ、急に何すんの…紅茶？くれるの？」
「んー、やるー。で、何落ち込んでんの？」
「あー…ヒーラーちゃん怒らせちゃって…」
「また？まぁそりゃそうか」
「そりゃそうかって何！！」
「いや、そりゃあいつはキレんだろうなって」
「…僕ほんとなんで、あんなに嫌われてるんだろうね」
「何度でも言うけど、嫌いだからキレてるんじゃないからな？」
俺が首を傾げると、リト君は「鈍感〜」とケラケラ笑う。
なんなんだと思いつつも厚意に甘えて、もらった紅茶のペットボトルを開けて飲み始める。
わざわざ俺のために買ってくれたのか？
「というかこれどうしたの？わざわざ持ってきてくれた…って風にも見えないけど」
「あー…なんでだろうな？」
「なんでそっちも疑問系で返すの！？こわ！？なんか入ってる！？」
「はははー」
「怖いって…」
どこか苦笑い気味になったリト君に恐怖を感じていると、マナ君とウェン君がやってくる。
…またあの子に怒られないようにしなきゃなぁ。
「(そのヒーラーに、自分からだって教えるなって、お前の好きな紅茶を渡されました…なんて言えるかー！泣きながら「嫌われた…」って言ってる女子の頼みを無下にするほど、俺は無粋じゃないからな！)」
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――――
▶︎数分前
「う、うぅ…」
「あー…やっぱ泣いてるよな、知ってた」
「宇佐美ぃ」
「声やば。まーたテツ？」
「うん…今日という今日は嫌われた…無理…頭真っ白で気づいたら佐伯くんに酷いこと言っちゃうの、本当に嫌…」
「せめて、テツに心配が伝わればいいんだけどなぁ…」
「…宇佐美」
「え、なに？紅茶？」
「佐伯くんに渡してきて…私からだって言ったら受け取ってもらえないだろうし、言わないで」
「え、自分で渡せよ」
「無理無理絶対また何か言っちゃうし、こんな酷い顔で話しかけに行けません！！」
「恋する乙女は難儀だな…じゃあまぁ渡してくるけど…」
「……ごめん」
「いつも治してもらってるんだから、これくらい気にすんなよ」
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
