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「佐伯くん」
「……」
「佐伯くん？」
「ハイッ！？」
「大丈夫？…やっぱり、体調でも悪いの？今日、任務中もボーッとしてたんだって？」
「それは…その」
「ん？」
君に好きな人がいるって聞いて気になって、などと言っていいものだろうか。
しかも、他人から聞いたとなれば嫌がるだろうか。
やっぱり気になる。
…カフェに誘ったのも、迷惑だったりしただろうか。
「…あの、不愉快だったら聞き流していいんだけど」
「？ええ」
「草凪ちゃんに…す、好きな人がいるって聞いたんだけど、本当？」
「……は！？」
「ごめん。やっぱり聞かない方がよかったかな」
「だ、誰から聞いたのよそんなこと！何？Dytica？」
「え？えっと、星導くん…」
「ほーしーるーべー！！今度会ったら許さん…」
聞かない方がよかったかなと思ったけど、不愉快というわけではないらしい。
どちらかというと、星導くんにお怒りだ。…星導くん、後日お説教されそう。
「…それで、えっと」
「あ。…ごめんなさい」
「う、ううん。こちらこそ。つっつかれるみたいで嫌だと思うんだけど、事実…ですかね」
「……いるにはいるわよ」
「あっ、そうなんだ」
「ええ。…そうは言っても、相手は私なんてなんとも思ってないでしょうけど」
「そ、そう…なの？よく気遣ってるだろうし、好かれそうだと思うけどな」
「怖がられてたから、好きになってもらうのは難しいというか…多分、あの人の好みじゃないわ」
「怖がられ…？」
「…おっと。私のくだらない話よりも、手当て終わったわよ。ゆっくり休みなさい」
「あ、うん。ありがとう」
好きな人に怖がられてたってどういうことだ…？
俺と同じように彼女を誤解していたのだろうか。
…彼女の好きな人はどんな人だろうか。気になる、けど聞くのは流石に
悩んでいると、彼女と目が合って、思わず口を開いていた。
「お…俺は、応援してるから」
「え？」
「草凪ちゃんが、その人と上手くいくこと願ってるね」
「…ええ。ありがとう」
「じゃあ、俺も休ませてもらおうかな。お疲れ様〜」
「お疲れ様」
Aちゃんの優しい声を聞きながら、部屋を出る。
何してんのかなぁ、俺は！
応援してるよ！なんて言って！！バカかな！！肩を落としながら、廊下を歩いていく。
…恋人できたらどうしよ。
「……好きな人本人に応援してる、なんて言われても反応に困るわね。はぁ…星導は後で説教だな」
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
