平行線ヒロイズム【sik】 (ページ33)

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診察室、二人きりのタイミングを見計らう。
彼女の後ろ姿に、声を上げた。
…よし、やるんだ。佐伯イッテツ！

「あ、あの…えっと」

「？」

「その…」

「……大丈夫？体調でも悪いの？」

「う、ううん。大丈夫…その、日曜日って空いてるかな」

「…空いてるけど、どうかした？何か相談事？」

「えっと、仕事の話じゃなくて。…他の7人は、君と出かけたりとかしてるって聞いて…僕も、君と遊びたいなと思ったんだけど…迷惑だったかな」

「そんなわけないでしょ。仕事よりもプライベートで会う方が嬉しいわ。気を張らなくていいし。…というか、佐伯くんこそいいの？」

「え？」

「金曜日、任務入ってるでしょ。土日は、ゆっくり休んだ方がいいんじゃない？」

「ううん、大丈夫」

こちらは君と二人で出かけてみたいって気持ちに下心込みだって言うのに、彼女は当たり前みたいにこちらを気遣ってくるのが、彼女らしいと思った。
任務終わり、他の3人が出て行ったタイミングを見計らって、彼女に話を切り出すとすぐに仕事の話になるあたりも、真面目な彼女らしくて苦笑した。
俺が、Aちゃんに嫌われていると思っている間、他の7人はたまに遊んでいたらしい。もう嫌われているなんて思ってないし、俺も遊んだりとかしてみたいと言うのは建前で。2人で出かけるとかでもしないと、彼女に意識してもらえない気がする。
仕事で、たまに会うくらいの人としか、思われてなさそうだし。