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彼女と出会った時、とてもきれいな顔をした女の子だなと思った。
俺達より年下に見えるその子は、俺達がヒーローとなる前から、ヒーロー達の傷を治す仕事に就いている古株、ヒーロー嫌い。
当時知っていることはそのくらいで、幼い見目に反し、はっきりとした言動も、冷たい目も、こちらに興味がなさそうな声も。それら全て、はっきり言ってしまえば怖かった。機嫌を損ねてしまったのか、担当になって初の任務の時からずっと僕に対して怒っている彼女のことが怖くて、ちょっと苦手だった。
でも、本当は彼女はヒーローが嫌いなのではないと知った。いつも、ずっと、憤っている君。では、何に憤っているのか。自称するように、ヒーローに？
いや違う。
ヒーローが傷つくことを当たり前にする周りに、傷ついても平然と笑ってしまうヒーロー達に憤っている。
「骨の髄まで医者な人」だと思った。どこまで患者を想う人。傷つくことを快く思わない人。
ヒーロー達が傷つくことを、当たり前にはしない人。傷つく姿を誰より見てきて、その上で慣れないように、当たり前だとは思わなかった人。
彼らの痛みと苦しみに寄り添う為に、日常のように続くそれを慣れないで、いつも怒ってくれる人。
真実を知って、思わず笑ってしまった。並大抵の覚悟でそれはできない。真剣に、真っ直ぐにヒーローに向き合ってくれているから、できること。
怪我がないことを喜んで、無事であることを喜んで、無茶をすれば怒り、傷つけば泣いてくれる人。
ヒーローの痛みを理解しようとし続けてくれている人。そんな人を理解したいと思ってしまった。
そんな人が、眩しく思えてしまったんだ。
ほんの少しでいいから、彼女に近づいてみたい。彼女の特別になってみたいって、強欲になってしまう。
Aちゃんは、どんな人が好きだろうって考えてしまう。
…ほんの少しでも、彼女にかっこいいって思ってもらえたら、どんなにいいだろうか。
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
