平行線ヒロイズム【sik】 (ページ4)

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「…バカなわけ？」

「ハイ」

「ここも、ここも」

「っ」

「こんっなに怪我してきて！ヒーローの自覚ないわけ！？あなたが倒れたら、誰が市民を守るの。少しは自覚したら？」

「はい…」

俺は今、目の前の女性にひどく叱られながら手当てをされています。はい。めちゃくちゃ怖いです。
任務後、軽傷だけどたくさん怪我した俺は、めちゃくちゃ圧をかけられている。
目の前の女性は拠点に勤務するヒーラーとでもいうべき人で、俺達の手当てをしてくれる。出身地は西だそうで、魔術を用いた治療をすることもあるが、軽傷は基本的に消毒液や包帯を用いた手当てが多い。現に、彼女はため息を吐きながら、怪我の多さを教えるように、傷口に消毒液を染み込ませたガーゼを当てて、俺を睨んでいる。
そこそこ付き合いが長くなってきた彼女に対して人見知りが抜けないのは、彼女が今のようにメチャクチャ圧をかけながら、いつも怒っているからだった。
よほど俺のことが気に入らないらしく、任務後でなくとも俺を監視しているのか目が合うこともあるし、目が合ったことに気づくとすぐに顔を逸らしてどこかへ行ってしまう。
俺としては仲良くしたいが、相手は俺が嫌いとなってはどうしようもない。
相手にとってはそれが仕事とはいえ、いつも手当してくれてる人だし．少しは関係改善したいんだけどな…。