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「…私の杞憂で済むならいいけど、ことが起きてからでは遅いから、私が勝手に調べていただけ。あなたが感謝する必要はない。多少は危機感を持つべきだと思うけどね？」
「はは、うん。それでも…君の優しさに僕は感謝したいかな。ありがとう、俺がひとりぼっちになるんじゃないかって心配してくれて」
「いや別に…あなたの場合、自分で選んだわけでも最初からそういう種族なわけでもなくて、ただの人間が呪われた結果だから、ふざけんなって思っただけっていうか…。あーもう、余計なこと言ったわ。とにかく！もしすぐに呪いが解けないとしても、私はあと300年くらいは付き合えるから。その点は心配しなくていい、とだけ言っておくわ」
「うんありが……え？」
聞き間違えじゃなければ、今300年とか言った？
思わず動揺していると、彼女は本棚を整理しながら不思議そうに首を傾げた。
「どうかしたの？」
「え、えっと…300年って…」
「私の寿命は、あと大体それくらいだと推測されるっていう話だけど…？」
「えっえっ？草凪ちゃんって人間じゃないの？」
「厳密には人間じゃないけど…あれ、もしかしてOriensにはまだ言ってなかった？Dyticaには言ったんだけど…。言った気でいたわ…私、ただの人間じゃなくて、人外の末裔なの。もう私の代ではだいぶ血が薄くなってて、見た目は人間と変わらないし、長い寿命くらいしかこれといった特徴もないんだけど…」
「ｽｰｯ 失礼ですが、今おいくつで…？」
「なんで急に敬語？…200年は生きてるけど」
「200！？」
「声でか……」
「いやごめん…医者やってる年数長いみたいだから、童顔な年上だろうなとは思ってたんだけど、そんなに桁が違うとは思わなくて…。えっ、ってことは俺達Aちゃんからすりゃ子供！？だから叱る時、たまに子供扱いっぽいの！？というかタメ口失礼…？」
「…その理論で言うと小柳と星導にも敬語になるわよ」
「それはそうだ…」
「年齢的に見れば、あなた達の大半は確かに子供なんだけど、そんなふうに思ったことはないし…別にこれまで通りでいいわよ。気にしてないし」
本棚を整理する手を止めて、ぶつぶつ呟く俺の横に立つ彼女は安心させるように笑っていた。
ゆっくり深呼吸をして、情報を整理していく。よく考えたら、ロウ君とか星導君とか年齢が桁違いの人は今までも周りにいたわけだけど、突然当たり前みたいに言われるとびっくりするな。
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
