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拠点を歩いていると、いくつかの本を抱えたAちゃんを見つける。
…重そうだな。助けに…助けに行ったところで、うまく話せるかな。
チョロすぎることに微笑んだ姿を見ただけで、意識してうまく話せなくなってるんですが…。
でも心配だし…えいい、ままよ！
「あの、草凪ちゃん」
「？ああ、佐伯くん。何か用事？なら少し待って。これを部屋に運んでからなら聞けるから」
「えっとそうじゃなくて…手伝いたくて」
「…これを運ぶのを？有難い申し出だけど…任務後でしょう。休憩しなくていいの？」
「う、うん。大丈夫。…これってどの部屋に運ぶの？」
「資料室があるのよ。診察室の二つ奥。そこに置きたいの」
どうやら俺の動揺は彼女に伝わっていないらしく、いつも通りのAちゃんの様子にこっそり安堵して、彼女の持っていた本のほとんどを持つ。
流石に持っていた本の9割を持っていかれると思わなかったのか、少し驚いた後思うところがありそうな姿を見て見ぬふりをする。女の子が運ぶの大変そうにしてるのに、放って置けないので…。
などと誰に聞かれることもない言い訳をしていると、表紙の題名が目に入る。
…なんか、どれも呪術関連じゃないか？そういえば、前に診察室の机にも似た部類の本が置いてあったけど…彼女に蒐集の趣味でもあるのか？
「これ、好きな本なの？」
「いや…調べ物の為ね。組織のデータベースにもある程度は情報があるけど、こういう類は書物の方が詳しいこともあるから。念の為」
「へぇ…君が呪いについて調べるなんて…。もしかして、ヒーローのサポートの為に習得しようとしてるとか？」
彼女ならしそうだと思っていると、ふと彼女が足を止めて、じっと僕を見上げた。
…変なこと言ったかな！？え、どうしたんだろう。何か気に障ったかな
「…佐伯くんってたまに鈍感というか、なんというか」
「アレッ、悪口のターンですかっ！？」
「悪口ではないけど…鈍いなと思ったのよ。単純に。サラッとほとんどの本持ったり…そういうところあるわよね。まぁいいけど。…あなた、大学3年生から抜け出せない呪いがあるでしょう」
「え？」
「その呪いをあなたが今解きたいかどうかは別として、いつか解けるように手段を見つけておくのいいかと思って、調べていたの。…自分が呪われているのに、この本を見てもピンと来ないとは思わなかったけど」
「え、アッ。俺の為、ってこと…デスカ…」
「そう言ってるじゃない」
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
