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悩んだ彼女を見たライ君が、非力な腕でも問題なく扱える、小型の拳銃…でも威力は十分なレーザー銃を作って渡した、ということらしい。
なるほど。確かに、東のヒーロー達を主に担当することになる前は、Dyticaと仕事することも多かったと言ってたし、当時はライ君達と会う機会も多かっただろうから、ライ君はAちゃんの為にこの銃を作ったことだろうな。そう納得していると、カップを置いたライ君がくすくす笑った。
「どうしてそんなに護身用の武器に拘るの？って言ったら…A、なんて返してきたと思う？」
「ちょっ、伊波…！」
「えーと…すべての患者を治すのが自分の仕事だ、とか」
「おっ、イッテツもAのことわかってきたんじゃない？仲良くなってきた？」
「そ、そう？」
「うん。Aはそういうこと言うし、実際あの時も言ってたんだけどちょっと違うかな」
「草凪ちゃんは…なんて言ったの？」
「なんで、佐伯くんそんなノリノリなの…？」
小さくて戸惑ったような声が聞こえた。
いやだって、優しい人だってわかったら仲良くなりたい気持ちが強くなって、知りたくなったんだよ！とは本人に言うのも恥ずかしいので、ライ君の答えを待った。
「それがね…『医者が患者より先に死ぬとか1番ナイ』ってさ」
「えっ」
「戦場で患者の治療をしに行くのに、医者が先に死んだら笑い話にもならない…的なニュアンスをさぁ、不機嫌な顔で言われちゃ、“ああ、こいつずっとブレないな〜”ってなるじゃん？力になってあげたいって思うよね〜。ずーっと患者のこと考えてんだもん。医者の鑑〜」
彼女らしい。僕がそう呆気にとられていると、ライ君がケラケラと笑う。
最近彼女のことを理解し始めて思うのは、彼女はそっけないだけで、世話焼きで心配性、いつだって患者のことを考えている人だということ。
苦しんでいる患者より先に死ぬなどあり得ない。そんな理由で護身術をどうにか習得したがるなんて、彼女くらいのものじゃないだろうか。思わず笑うと、気恥ずかしそうに顔を逸らすAちゃんが視界に入る。
…うーん、やっぱり可愛らしい人だよな。誰だこの人を怖がってたのは？俺です。
「よっし、メンテナンスおーわり。飲み終わったら帰ろ」
「…ありがと。さっさと帰って」
「えー、照れ隠し〜？」
「そういえばこの間、草凪ちゃんかっこよかったんだよ」
「えっ、何その話！聞きたーい！」
「さ、佐伯くん！？」
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
