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「ん？…君は、ライ君のオトモ…だよね？」
Aちゃん宛に書類を届けるように頼まれ、拠点の廊下を歩いていると…そこにはカブトムシのメカ…ライ君のそばにいた記憶のあるロボがいた。
ついてこいと言いたげに移動し始めるロボを追いかけていくと、そこには何やらカップを持って歩いているAちゃんがいた。
「草凪ちゃん！仕事中？」
「佐伯くん？任務…なら、要請が来るか。どうかしたの？」
「君にこの書類を届けるように頼まれて…。そのカップ、自分用？」
「そうなの？ありがとう。…これ？いいえ。伊波の分」
「やっぱりライ君が来てるの？オトモがいたし、任務？」
「任務…というよりはプライベート？いやでも、メカニックの仕事でもあるから、任務かしら」
「？」
「まぁ、この部屋に入ればわかるわ。…伊波、入るわね」
「はーい。って、イッテツ？なんかあったの？」
「草凪ちゃん宛に届け物を頼まれてね。ライ君は？」
「オレはこれのメンテナンス！大事な物だからね、いざという時に不具合があったら…やっぱ嫌でしょ？」
そう言うライ君が持っているのは、先日見たAちゃんの…恐らく護身用のレーザー銃。
…となると、これの制作者ってライ君？驚いて二人を見比べると、湯気の立つカップを持ったライ君はくすっと笑った。
「これはね、Aが悩んでた時に作って渡したやつなんだ。いやー、大事に使ってくれて嬉しいよ」
「草凪ちゃんが悩んでた…？」
「…まだあなた達の担当に決まる前の話よ。私の仕事柄、緊急時には戦場に治療をしに行く場合がないわけじゃない。でも、私に戦闘に使えるような魔術の適性はない。その話は知ってるわよね？」
「ああ…言ってたね。治療系の魔術が得意で、援護とか索敵なんかの魔術も使えるけど、戦闘の魔術だけはからっきしだって」
「その通り。…で、見た目通り私は非力だから、武器も満足に振るえないわけ。でも、自分の身も守れないんじゃ戦場に治療なんて行けないから、どうしようかと悩んでた時期があったのよ」
ぶっきらぼうにそう言いながら目を伏せる彼女を見る。
少女のように見える容姿。確かに彼女の言うように、剣等は振るえそうにない。かといって非力な腕じゃ、ナイフ等では殺傷能力も低いから、護身には不十分。当時から医者として、そしてそれ以外の分野でも活躍できる、優秀な立場だったはず。全ての患者を癒したい彼女は…治療に向かえずに、さぞ歯痒い思いをしたのだろう。
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
