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「待てー！」
任務中、KOZAKA-Cを追いかけていると、誰かの声がして胸騒ぎがする。
足を早めると、子供が怯えて腰を抜かしているのが見えた。
まずい。KOZAKA-Cを追い詰めた先に子供がいるだなんて、ツイてない。
逃げ足早すぎだろっ。ナイフの投擲じゃ間に合わない！
俺が焦った時、一条の光のようなものがKOZAKA-Cを正確に撃ち抜いた。
「な、何事？」
「佐伯くん！」
「えっ、草凪ちゃん！？ど、どうしてここに！？」
呼びかけられた声と、その声の主に驚いていると彼女の手には小型の拳銃が握られていることに気づく。
レーザー銃、みたいな…。医者の彼女がなんでこんなものを？
「どうしてって…あなた達が帰還予定時刻を過ぎても戻ってこないわ、拠点の周りも少し騒がしいわで、手こずってると判断したから、様子を見に来たのよ。急患とかの要請もないし」
「えっ！？ほんとだ、過ぎてる…」
「…随分と戦闘に集中してたみたいね。その割に…見た目は軽傷。安心した…強い敵でも出たのかと思ったけど」
「弱いけど逃げ足が速い敵が今回は多くて、手分けしてるんだけど…ちょっと時間かかってるっていうか。なので見た通り酷い怪我じゃないです」
「そう。…ならいいわ。じゃあ、あなたは私と拠点に行きましょう。私はヒーラー。主にヒーローを癒す者。拠点の周りは安全だから。…軽い怪我をしてるわね。すぐ治すから、もう大丈夫よ」
「う、うんっ。ありがとう、お姉さん」
「歩けるなら、拠点も近いし急いで向かいましょう。敵が来ないとは限らないから。…佐伯くん、まだやれるわよね？」
「うん、もちろん！絶対的ヒーローはこんなところでやられたりしないよ！」
「…そ。じゃあ、無茶はしないで…生きて戻ってきて。これはサービスだから。‘清き水よ、かの者を癒したまえ’」
「えっ、わ…。ありがとう、ヒーラーちゃん」
「ん。頑張ってね、ヒーローさん？」
大分人見知りしなくなってきて、Aちゃんとの会話はスムーズになったと思う。
彼女の詠唱に応えて、不思議な泡沫が傷口を覆って傷を癒していく。すっかり無傷になった体を一瞥して、彼女にお礼を言うと“ヒーラーちゃん”は満足げに微笑んで、子供の手を引き、拠点へと向かっていった。…恐らく護身用の銃を持った彼女なら、大丈夫だろう。そう判断して、俺も走り出す。
さて、彼女に負けないかっこいい戦果を残さないとな。
僕よりカッコよくなかった？？見惚れかけちゃった…。
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作者名：613 | 作成日時：2024年2月7日 7時
